4:00 PM - 4:15 PM
[3Kp-07] Effects of inorganic acids in leavening agents on increasing volume of baked wheat products
Keywords:leavening agents, sponge cake, acidic agents
【目的】製菓等で用いられる膨張剤にはNaHCO3(重曹)を主成分としてAlK(SO4)2(焼きミョウバン)が酸性剤として添加されている.厚生労働省から一部の小児におけるアルミニウムの摂取許容量を超過する可能性が報告されたため,焼きミョウバンを代替する酸性剤を用いた膨張剤がいくつか開発されている.しかし,代替品は従来品に比べて膨化効果が低く,酸性剤の種類によって膨化効果にばらつきがあるのが現状である.そこで,本研究では焼きミョウバンを用いた従来の膨張剤と市販代替品の膨化効果を比較し,従来品と同等の膨化効果を持つ代替品の開発に有効な知見を得ることを目的とした.【方法】焼きミョウバン及び無機酸性剤を主成分とする複数の種類の酸性剤を使用した計6種の膨張剤を使用し,小麦粉・鶏卵・砂糖・水・乳化剤・膨張剤を適量配合してスポンジケーキ生地を作製した.代替品の膨化効果について,X線CTを用いて各焙焼時間における生地の構造変化の評価とpH測定を行った.また,蛍光X線分析法(XRF),高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP),粉末X線回折法(XRD)を用いて各代替品中の成分の定性定量分析を行った.【結果】従来品を添加した生地は焼成中に気泡率が増加し,代替品を添加した生地よりも気泡径が小さい傾向を示した.従来品を添加した生地は焼成中に生地pHが低下したが,5種類の代替品では,pHは焼成中にほとんど変化しなかった.しかし,代替品のうち1種類が,焼きミョウバンと同様に焼成中の気泡率の増加とpHの低下を示した.さらに,XRFとICPの結果から代替品の元素組成に大きな差異は確認されなかったが,XRDの結果からpHの低下を示した代替品は,他の代替品に比べて結晶性が低いことが示唆された.