日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[3Lp] 食品物性

2024年8月31日(土) 14:30 〜 16:30 L会場 (2F N205)

座長:藤井 修治(東洋大学)、小川 剛伸(京都大学)

16:15 〜 16:30

[3Lp-07] 卓上型製造機と実用機によるアイスクリーム試作品のオーバーランおよび微細構造の比較

*高山 愛莉1、小島 尚樹2、藤原 孝之1,2 (1. 中部大・院・応用生物学研究科、2. 中部大・応用生物学部)

キーワード:アイスクリーム、オーバーラン、卓上型製造機、クライオSEM

【目的】アイスクリームの製造や評価研究においては,卓上型アイスクリーム製造機(以下,卓上機)を使用する例が多く見られるが,製造規模や機器特性の違いのため,実用機で製造した際の研究成果の再現性に疑問が残る.そこで,卓上機と実用機で試作したアイスクリームの特性を比較した.
【方法】卓上機(ICM-15A,Jinroom)および実用機(Compacta 3002RTX,CARPIGIANI)を用いて,同配合率の原料(それぞれ合計量440g,5500g)を用いてアイスクリームを製造した.牛乳 ,生クリーム,砂糖,水,スキムミルク,アイスクリーム用増粘剤(パンナネーヴェ)を主原料として,これに抹茶,塩および食用サボテンを添加したものも製造した.双方の機器ともに,冷却・撹拌過程で継時的に試料を採取してオーバーランを測定した.また,クライオSEM(JSM-IT700HR,日本電子株式会社)を用いて試料の構造を観察した.
【結果および考察】卓上機,実用機ともに,製造時間に伴い試料のオーバーランが上昇し,最高値に達した後,下降した.両機器による試料の最大オーバーランを比較すると,絶対値は異なるが,正の相関があった.また,クライオSEMで観察したところ,両機器ともに製造時間が長くなると空気や氷粒子が細かくなり,それら形状の変化も類似していた.以上のように,卓上機と実用機を用いて製造中のアイスクリームは,同様のオーバーランおよび構造の推移を示すとともに,卓上機で試作したオーバーランの値から,実用機による値を予測できる可能性も示唆された.現在,官能評価および物性測定器による硬度測定を行い,両機器によるアイスクリームの食感および物性の違いを検討している.