日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

若手の会 ポスター発表

若手の会ポスター発表

[PA] 「若手の会」および「インターナショナルポスター賞」

2024年8月29日(木) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (タワー75 2F 学生ホール)

[PA-11] 福みかん果皮抽出エキスおよびポリメトキシフラボノイド類の抗炎症効果

*針谷 夏菜華1、小山 彩華1、山下 留奈1、衛藤 未侑2、要害 心1、夏目 矩行3、渡辺 章夫1,2 (1. 十文字学園女子大・人間生活、2. 十文字学園女子大・院・人間生活、3. (株)ナチュファルマ琉球)

【目的】福みかん(Citrus tumida)は,埼玉県ときがわ町で栽培されている爽やかな酸味が特徴の柑橘類で,ポリメトキシフラボノイド(PMF)であるノビレチン,タンゲレチンを含むのが特徴である.我々は,PMFを約94%まで高純度化した福みかん果皮抽出エキスの製造法を開発した.福みかん果皮抽出エキスと含有PMFの抗炎症,抗アレルギー効果について検討した.
【方法】抗炎症効果の評価ため,リポポリサッカライドで炎症誘導したマウスマクロファージ様細胞株RAW264に福みかん果皮抽出エキスまたはPMFを添加し,一酸化窒素(NO)産生量を測定した.抗アレルギー効果の評価のため,IgE依存性抗原刺激したラット好塩基球性白血病細胞株RBL-2H3に福みかん果皮抽出エキスまたはPMFを添加し,ヒスタミン分泌量をLC-MS/MSで測定することで脱顆粒反応を検討した.TNF-αで炎症を惹起したヒト臍帯静脈内皮細胞株HUVECsに福みかん果皮抽出エキスまたはPMFを添加した後,ヒト急性単球性白血病細胞株THP-1を用いて単球細胞接着率を測定した.
【結果】RAW264細胞において,福みかん果皮抽出エキス,ノビレチンは濃度依存的にNO産生を抑制した.RBL-2H3細胞において,福みかん果皮抽出エキス,ノビレチンは濃度依存的に脱顆粒反応を抑制した.また,HUVECsとTHP-1単球細胞において,福みかん果皮抽出エキス,ノビレチンは細胞接着を抑制した.本研究で福みかん果皮抽出エキスとノビレチンに抗炎症および抗アレルギー効果が認められたことから,福みかん果皮抽出エキスは花粉症や慢性炎症などを予防,改善する可能性が示唆された.また単球接着も抑制したことから,動脈硬化の進展を予防,改善する可能性が示唆された.今後は,実験動物における影響や詳細な作用メカニズムの解析を検討していきたい.