[PA-90] 乾燥卵白のゲル化に及ぼすエタノール濃度の影響
【目的】エタノール(EtOH)には,タンパク質の分子構造維持や分子間相互作用に寄与する水素結合を切断する作用があり,乾燥卵白タンパク質の物性機能の改質効果が期待される.本研究では,EtOH濃度が乾燥卵白タンパク質の変性,凝集性および加熱ゲル化性に及ぼす影響を検討した.
【方法】乾燥卵白を水戻した後,EtOHを水に対して0, 7, 14, 21%の濃度になるように撹拌しながら滴下し,pH9.0に調整しタンパク質濃度10%のサンプル液を調製した.サンプル液の遠心上清を,90℃,30分間加熱しゲルを作成して破断荷重を, 90℃,16分間加熱しゲルを作成して-18℃で24時間冷凍後4℃で解凍し,ろ紙法により離水量を測定した.卵白タンパク質凝集挙動を電気泳動にて解析した.卵白タンパク質変性挙動を解析するためタンパク質濃度を低くしたサンプルを調製し,表面疎水性測定及びSH基を測定した.
【結果】EtOH濃度が上がるにつれてサンプル液の沈殿量は増加し,卵白タンパク質の凝集が促進され,加熱ゲルの破断荷重と保水性はEtOH濃度14%で最も高かった.表面疎水性および表面SH基も,EtOH濃度依存性が確認できたが,加熱後はEtOH濃度依存性は確認できなかった. Native-PAGEではEtOH濃度が上がるにつれてタンパク質凝集が促進され,それには非共有結合が寄与していることが明らかとなった.一方,SDS-PAGEでは還元と非還元の比較により,EtOH濃度21%の時に顕著なSS結合による凝集体形成が確認できた.以上より, EtOH濃度によるタンパク質分子間の結合様式の違いが乾燥卵白のゲル化性に影響していることが示唆された.
【方法】乾燥卵白を水戻した後,EtOHを水に対して0, 7, 14, 21%の濃度になるように撹拌しながら滴下し,pH9.0に調整しタンパク質濃度10%のサンプル液を調製した.サンプル液の遠心上清を,90℃,30分間加熱しゲルを作成して破断荷重を, 90℃,16分間加熱しゲルを作成して-18℃で24時間冷凍後4℃で解凍し,ろ紙法により離水量を測定した.卵白タンパク質凝集挙動を電気泳動にて解析した.卵白タンパク質変性挙動を解析するためタンパク質濃度を低くしたサンプルを調製し,表面疎水性測定及びSH基を測定した.
【結果】EtOH濃度が上がるにつれてサンプル液の沈殿量は増加し,卵白タンパク質の凝集が促進され,加熱ゲルの破断荷重と保水性はEtOH濃度14%で最も高かった.表面疎水性および表面SH基も,EtOH濃度依存性が確認できたが,加熱後はEtOH濃度依存性は確認できなかった. Native-PAGEではEtOH濃度が上がるにつれてタンパク質凝集が促進され,それには非共有結合が寄与していることが明らかとなった.一方,SDS-PAGEでは還元と非還元の比較により,EtOH濃度21%の時に顕著なSS結合による凝集体形成が確認できた.以上より, EtOH濃度によるタンパク質分子間の結合様式の違いが乾燥卵白のゲル化性に影響していることが示唆された.