The 71th Annual Meeting of JSFST

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Symposia

シンポジウムC

[SC2] シンポジウムC2

Sat. Aug 31, 2024 2:15 PM - 5:00 PM Room S1 (2F 201)

世話人:高橋 正和(福井県立大学)、岩本 悟志(岐阜大学)

2:20 PM - 2:50 PM

[SC2-01] Current status and development strategy of plant-based alternative foods

*Yutaka Saito1 (1. FUJI OIL CO., LTD.)

Keywords:Plant-based food, Soy meat, delicious and healthy

    【講演者の紹介】齋藤 裕(さいとう ゆたか):不二製油(株)たん白事業部門 たん白開発二部 部長
    略歴: 1992年東北大学農学部卒,同年不二製油(株)中央研究所に配属.大豆素材の基礎研究,製品開発,販売,マーケティング,事業開発と職務を歴任し,2022年より現職,大豆ミート等の製品開発に携わる.販売ではグループ会社のフジプロテインテクノロジー株式会社に,事業開発では不二製油グループの持株会社である不二製油グループ本社に所属.

 近年,健康志向の高まりから,タンパク質を多く含む大豆などの植物性素材を加工した植物由来代替食品(以下,プラントベースフード,略してPBF)に注目が集まっています.またPBFの普及は,健康への効果はもちろんのこと,世界人口の増加に伴う食糧問題の解決や,CO2排出量の抑制といった地球環境の維持・向上への効果が期待されています.一方,これまで拡大基調だったPBFにも課題が見えてきました.
 PBFのカテゴリーとしてはノンデイリー(チーズ,バター,飲料),大豆ミートが代表的です.肉代替食品である大豆ミートについては、特にコロナ禍の2020年以降,順調に拡大していましたが,2023年頃よりややブレーキがかかっています.周知が進んだことの反映として,市場の課題が見えてきました.
 大豆ミートの課題を要約すると,現行品質では,プラントベースというだけでは消費に結びつきづらく,美味しさ,健康価値など,消費者に判りやすく伝わるコンセプトが求められていることが判ってきました.また,そもそも日本には伝統的な植物性の食品が存在します.例えば欧米とは当然食文化が異なるわけであり,PBF全般に対する考察もそのエリアに根差して考えていく必要があります.食文化は保守的と言われる中で,PBFは新しいカテゴリーです.社会実験とも言える取り組みがどの様に進化していくのか,どうすればPBFを拡大できるのか,我々の貢献が求められています.
 不二製油グループは,「人と地球の健康を叶える食品素材の開発」を目指し,創業時より植物性の原料に拘ってきました.パームなどを原料とした機能性油脂の開発,これら機能性油脂を活用したチョコレート素材や植物性クリームなどの乳化醗酵素材の開発,大豆を原料とした分離大豆たん白質や大豆ミート,水溶性大豆多糖類の開発など,原料の最大活用とアップサイクルの思想を大切に,多様な植物由来代替食品を開発して参りました.
 新たな2030年ビジョン「植物性素材でおいしさと健康を追求し,サステナブルな食の未来を共創します」を掲げました.その為には新しい植物性素材による,驚きの美味しさが必要と考えています.弊社は B to B 製品のメーカーであり,黒子のポジションです.その分技術開発でいかに貢献するかが求められます.おいしさと健康,持続可能性をキーワードに油脂,たん白加工,乳化・発酵技術を融合させ,世界中のお客様と共に食の困りごとの解決を目指します.まずは大豆ミートを主題にしていますが,新しい食文化に貢献する為に,ノンデイリー分野も検討しています.
 本発表では,主に大豆ミート市場の現状,背景,当社技術によるPBF全般の普及への取り組みについてご説明します.
 参考HP)不二製油 大豆ミート  https://www.fujioil.co.jp/soymeat/articles202102/