THE 70th ANNUAL CONFERENCE OF JSSD

Organized session (Japanese Only)

6月24日(土)15:00〜17:00

オーガナイズドセッション1(発表会場3/3F 2303)

サービスデザインの未来と人材像
 
オーガナイザー 渡邉 慎二
千葉大学 デザイン・リサーチ・インスティテュート 教授
 
パネリスト
Birgit Mager Service Design Network(SDN)代表
ケルン応用科学大学 教授
長谷川 敦士 株式会社コンセント 代表
武蔵野美術大学造形構想学部 主任教授
SDN日本支部 代表
緒方 啓史 株式会社東芝 CPSxデザイン部 共創推進担当
丸山 幸伸 株式会社日立製作所 研究開発グループ 主管デザイン長
武蔵野美術大学造形構想学部 教授
白鳥 友里恵 Designship Do 代表

 

 産業や行政など幅広いフィールドで活躍するサービスデザインの研究者や実践者、また、世界サービスデザインネットワークのリーダーの知見から、研究と実践の最新状況を共有し、これからのサービスデザインとそれを支える人材像、教育について議論する。
 サービスデザインが普及し、多くの企業やビジネス・デザインコンサルでサービスデザインへの移行が進み、サービスデザインの研究と実践が積み重ねられている。しかしながら、最初からサービスデザイナーであった人はまだまだ少なく、特に活躍しているシニアサービスデザイナーは、インダストリアルデザイン、ユーザインタフェースデザインなどからのキャリアチェンジ組が多い。
 本セッションでは、サービスデザイナーにキャリアを変えたデザイナー、キャリアチェンジを支援するプログラム運営者などを交えて、様々な分野でのサービスデザインの事例、そして新しいサービスデザインやその先の兆しとなるプロジェクトなどを紹介し、これからのサービスデザインとそれを支える人材像、教育について議論する。

 

オーガナイズドセッション2(発表会場9/4F 2403)

学びのデザイン
 
オーガナイザー 蘆澤 雄亮
芝浦工業大学 デザイン工学部デザイン工学科 教授
 
パネリスト
相庭 玄輝 株式会社Too HRデザイン部 ゼネラルマネージャー
柿山 浩一郎 札幌市立大学 デザイン学部 教授
木村 雅彦 株式会社GKグラフィックス 取締役
早川 克美 京都芸術大学通信教育部 芸術教養学科CLO
京都芸術大学大学院(通信教育)学際デザイン研究領域 領域長 教授
福田 大年 札幌市立大学 デザイン学部 講師
 

 今から約13年前、日本では白熱教室が注目されました。そして、2012年8月には中央教育審議会の答申「中長期的な大学教育の在り方について」にアクティブ・ラーニングという言葉が込められました。世の中は「整然と並んだ机に向かって一方的に教授の話を聞く」という学習スタイルから、ワークショップやPBL(Project / Problem Based Learning)など「雑然とした空間の中で手やカラダを動かし、議論しながら学ぶ」を求め、大学もそのように変化することを求められました。デザインはもともとアクティブ・ラーニングを主としていたため、あまり大きな影響は無かったかもしれませんが、昨今ではAI技術の目覚ましい発展、オンラインツールの台頭、リスキリングなどによる生涯学習の活発化など、学びをめぐる環境は大きく変化しようとしています。さて、学びの在り方というのはこれからどうなっていくべきなのでしょうか?これは大学だけの問題ではなく、社会全体の問題でもあります。
 ということで、このセッションでは様々な立場の方々をお招きした上で、それぞれが実施している「新たな学びへのトライアル」をお話しいただくとともに、次なる学びの姿を皆さまと一緒になって考えたいと思います。


 

6月25日(日)15:00〜17:00

オーガナイズドセッション3(発表会場7/4F 2401)

みんなで東京湾葛西沖を学び・考える
 
オーガナイザー 佐々木 美貴
日本デザイン学会環境デザイン部会主査
江戸川区子ども未来館、愛知県立芸術大学
 
パネリスト
風呂田 利夫 東邦大学理学部生物学科 名誉教授
上山 肇 法政大学大学院 政策創造研究科教授
建築学会 親水とSDGs小委員会委員長
高木 嘉雄 江戸川区子ども未来館企画調整員
柿澤 佳昭 江戸川区環境部気候変動地域連携課長

【概要】

東京湾奥・葛西沖三枚洲がラムサール条約湿地として登録を達成し、 2023年10月に5周年を迎える。
今回のオーガナイズドセッションでは、葛西沖の保全計画、登録までの経緯や東京湾の自然環境の現状を振り返り、干潟の役割や都市の水辺景観について考察する。
さらに自然との共存やワイズユース(賢明な利用)のあり方について意見を交換し、都市の環境デザインに役立てる。

【内容】
葛西海浜公園は多くの人々の叡智と努力の結果かつての自然環境を一定程度復元できた好事例と言われる。その成果がラムサール条約湿地への登録実現であった。
このオーガナイズドセッションを主宰する環境デザイン部会が指向しているのは「つなぐ」ことでもあるので、先人の努力を横に繋ぎ、さらに都市の中の豊かな自然を未来に「つなぐ」環境デザインを共に考えたい。

セッションでは 

  1. 登録地と周辺の現状、保全計画、干潟の生態系等を概観し、
  2. 現地江戸川区の親水公園や緑道網と海浜部を繋ぐ水とみどりのネットワークの思想に迫り、
  3. 次世代を生きる子どもたちの学びのフィールドとしての水辺や干潟の役割を報告する。

こうした具体事例を受けて「持続可能な開発」(SDGs)を前提とした自然共生とまちづくりの提案を会場の参加者と作り上げていく。
 

【関連イベント】
エクスカーション「東京湾奥の葛西海浜公園に船で出かけよう」
(共催:葛西海浜公園パートナーズ)


【パネリスト】
〇風呂田利夫氏
理学博士(九州大学)
東邦大学理学部生命圏環境科学科教授退定年任後、現在東邦大学名誉教授
東京湾を中心に海洋生物とくにベントスの生態学的研究とともに、東京湾生態系の再生と生態系サービス活用に向けた社会活動を行っている。

〇上山肇氏
法政大学大学院 政策創造研究科 教授、博士(工学)、博士(政策学)、一級建築士
専門:都市政策、まちづくり
外部委員:狛江市かわまちづくり計画策定協議会委員長、日本建築学会親水とSDGs小委員会主査等

〇高木嘉雄氏
江戸川区子ども未来館企画調整員
自然動物園などの勤務を経て子ども未来館の開館に携わり現在に至る。
環境カウンセラーや自然解説指導員として子どもの野外活動に関わる機会も多い。

〇柿澤佳昭氏

江戸川区環境部気候変動地域連携課長
 1993年建設総合コンサルタント会社勤務(環境アセスメント業務)を経て江戸川区役所入区(土木技術職)。2012年4月新設された危機管理室防災危機管理課長や区画整理課長などを歴任し、2023年4月、環境部に拡張新設された気候変動地域連携課課長に就任。脱炭素社会実現に向け区民や事業者への啓発から行動変容へとつなげていく。

司会
〇佐々木美貴
江戸川区子ども未来館 JSSDED部会主査 愛知県立芸術大学非常勤講師
橋梁デザインの事務所を経て環境デザイナーとして独立。JH長崎日見夢大橋等をデザイン。子ども未来館では、西なぎさでのイベントや活動を企画実施。

 

オーガナイズドセッション4(発表会場9/4F 2403)

ビジョンと体験設計
 
オーガナイザー 髙橋 克実
ホロンクリエイト
 
パネリスト
山崎 和彦 武蔵野美術大学
早川 誠二 HCD YOROZU Consulting
上田 義弘 y2.DesignConsulting
郷 健太郎 山梨大学
柳田 宏治 倉敷芸術科学大学

 

 デザイン学研究において、デザイン経営に則ったデザイン開発を考えることが必要となってきています。それはデザイン的思考であるビジョンデザインと、これを設計するための体験設計、更に設計された体験を実現する社会実装です。これらは企業や行政のビジネス開発にとって重要な役割を果たします。また、こうした上流工程のデザイン経営とつながる考え方は、これからのデザイン教育にも大きな影響をもたらすと考えます。今から10年前に出版されました「エクスペリエンス・ビジョン~ビジョン提案型デザイン手法~」(丸善出版)はICT・IoT・DX化するユニバーサルデザインを考慮するためのデザイン方法論を広め、社会環境への対応を試みるものです。この著者たちが実践して、活動をしてきた経験と知見を今後のデザイン学の発展に寄与すべく、出版や講演などを行ってきました。 今回はこれに関わる事例や手法、そして、考え方をご紹介して、これからのデザイン学研究の取り組み方について皆様と議論したいと考えています。

 

オーガナイズドセッション5(発表会場3/4F 2303)

企業内デザインが築きあげた資産
 
オーガナイザー 青木 史郎 中国美術学院客員教授 元 日本デザイン振興会
黒田 宏治 静岡文化芸術大学名誉教授  GKデザイン機構
 
パネリスト
河原林 桂一郎 静岡文化芸術大学名誉教授
元(株)東芝 デザインセンター長
蓮見 孝 筑波大学・札幌市立大学名誉教授
元 日産自動車(株)チーフデザイナー
大澤 隆男 (株)ヤーマン 開発本部 シニアアドバイザー
元日立製作所 デザイン本部長、IT統括本部長
安齋 利典 実践女子大学教授
元 札幌市立大学教授、(株)三菱電機 デザイン研究所・宣伝部

 

日本のデザインは、欧米のそれを下敷きに、ユニークな発展を遂げてきました。特に1970年代からバブル崩壊に至る時期には、前人未到といってよいほどの高みに到達していたように思われます。「プロモーションデザイン研究部会」では、その発展をできるだけ客観的に捉えることにより、21世紀の日本のデザインが担うべき、新たな国際的な役割を明らかにしたいと考えています。

今回の「オーガナイズドセッション」では、日本の大手製造業のデザイン部門 (インダストリアルデザインの部門)が展開してきた「調整役としての役割」に着目します。
日本企業のデザイン部門は、商品の企画やデザインの推進を通じて大きな成果をあげてきましたが、特に産業・公共分野の戦略的な商品や設備の開発において、技術部門や営業部門等の意見を一歩下がって調整するという、コーディネータ的な役割をも果たしてきました。 このある意味での慎ましい態度は、日本商品が国際的に高い競争力を生み出した大きな要因となりましたが、その後日本企業が勢いを失うにしたがい、こうした企業内で蓄積された良質な技術もまた、生かされる機会をまた失っていったように思われます。しかしここには、21世紀のデザインを語るうえで極めて重要となる、「コーディネート」あるいは「ファシリテート」という戦略的概念が、しっかりと実践されていたのです。

今回の「オーガナイズドセッション」では、総合電機や自動車などの分野で、企業内デザインを推進されてきた方々をお迎えし、企業内で実践されてきたデザイン活動の一端を紹介いただくと共に、今日の視点から、企業内で蓄積されているデザイン的資産を活かしていく可能性を検討していきたいと考えています。

【プログラム】
1・趣旨説明 「企業内デザインが築きあげた資産」
黒田宏治/青木史郎

2・報告 「企業内デザインが展開した多様な活動」
河原林桂一郎/蓮見孝/大澤隆男/安齋利典

3・討論 「資産活用の可能性」