[P1-23] 乳牛の初-2産間における乾乳期間とタンパク質強化の違いが血液性状とルーメン発酵に及ぼす影響
【目的】乳牛の初-2産間における乾乳期間の短縮と,乾乳期のタンパク質給与量の違いがルーメン発酵と血液性状に及ぼす影響に明らかにするため,日畜第125回大会での報告に引き続き,例数を増やして検討した.【方法】前演題の2産目を迎えるホルスタイン種経産牛108頭について,ルーメン液性状を分娩前5,2,1週,分娩後1,4,8,12,および16週に,血液性状を分娩前9,5,2,1週,分娩後1,4,8,12,および16週に,それぞれ13時に調査した.【結果】ルーメン液性状では,短縮区及び短縮強化区の総短鎖脂肪酸濃度は,対照区と比較すると分娩後4週で低く,短縮区及び短縮強化区で分娩後1~16週の間,酢酸比率が高くプロピオン酸比率が低く推移した.血液性状では,短縮区及び短縮強化区は対照区に比較し,分娩4週後のグルコースが高く,総ケトン体が低値であったため,栄養素の代謝が改善したと考えられた.また分娩後1週で短縮区及び短縮強化区では対照区と比較して、インスリンが高く、成長ホルモンが低かった。以上より,乳牛の初-2産間において乾乳期を35日に短縮すると,分娩後のルーメン内酢酸/プロピオン酸比が高くなるとともに,栄養素の利用が泌乳よりも生体への蓄積に向かうホルモン動態を示すことから、泌乳初期の負のエネルギー状況を緩和する可能性が示唆された.