日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

1. 栄養・飼養

1. 栄養・飼養

[P1-44] 肉豚の消化管各部位における内容物および粘膜細菌叢

〇吉村 修1、森島 爽2,3、申 ジエ1、喜瀬 昌明1、塚原 隆充4、井上 亮2,3 (1.日清丸紅飼料、2.京府大生環、3.摂南大農、4.栄養病理研 )

腸内細菌叢は宿主生理機能に影響を及ぼす.消化管部位でpHや酸素濃度などが異なり、また粘膜はムチン層で内容物と隔てられていることから,消化管部位や粘膜と内容物で菌叢構成が異なるが肉豚での知見は乏しい.本研究は肉豚の腸内細菌叢に関するこれらの基礎的知見を得ることを目的とした.72日齢LWD豚6頭の解剖を行い,胃,空腸,回腸,盲腸,近位結腸,遠位結腸,直腸から内容物および粘膜を採取し,DNAを抽出後MiSeqによる16S rRNAメタゲノム解析を実施した.得られたAmplicon sequence variantに基づく階層的クラスタリングにより計5つのクラスターに分類された.最初に粘膜と内容物で分けられ,内容物は上部(1:胃と空腸,2:回腸)で2つと下部(盲腸,近位結腸,遠位結腸,直腸)の3つ,粘膜は上部(胃,一部個体の回腸)と下部(空腸,一部個体の回腸,盲腸,近位結腸,遠位結腸,直腸)の2つに分けられた.クラスター間の比較では,α多様性は下部の粘膜と内容物で高く,上部内容物で低く,属レベルの占有率の差はLactobacillus属,Prevotella属,Streptococcus属を含む平均0.1%以上の計82細菌でみられた(P<0.05).肉豚の腸内細菌叢の構成は部位だけでなく内容物と粘膜で異なることが示され,粘膜細菌叢も宿主生理との関わりを理解するために重要であることが示唆された.