日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

2. 遺伝・育種

2. 遺伝・育種

[P2-32] トキ国内飼育下個体群における繁殖形質の統計遺伝学的解析のための予備的2検討

〇石井 森昭1、蟹澤 翔太1、山田 宜永1、杉山 稔恵1、谷口 幸雄2、横井 伯英2、金子 良則3、永田 尚志4、祝前 博明4 (1.新潟大院自然科学、2.京大院農、3.佐渡トキ保護セ、4.新潟大佐渡自然セ)

【目的】トキの国内個体群では、存続可能性をより高めるための様々な取り組みが重要である。本検討では、できる限り近い将来に実用的な統計遺伝学的解析による有用情報の取得が開始できるように、そのための一助として、 始祖個体間の遺伝的関連性を考慮に入れた始祖個体のゲノムに関する有効数の一試算を行った。また、利用可能な素データをもとに、記録数が未だ限られているので、今回は、繁殖形質を分析対象とすることができるか、線形モデルではどのような要因効果を取り上げることが可能か、また、パラメータ推定の可能性について、まずは予備的な検討を試みた。【方法】SNP型の情報を用いて始祖個体間の遺伝的関係を表し、子世代以降は血統情報を用いて始祖個体のゲノムに関する有効数を試算した。また、2004年から2018年までの約300記録を用いて、実用線形モデルにおける複数の要因効果の考慮などの点について検討を行った。【結果】非近交・非血縁を仮定したときの始祖個体のゲノムに関する有効数は3.28であった一方、SNP型情報を用いた場合には1.92と試算された。また、産卵数および孵化率における繁殖施設間の差の点推定値は、それぞれ約0.9個以下および約10%以下であった。いくつかの繁殖形質の反復率の点推定値は、0.1から0.3程度であった。今後、分析記録数を順次増やしつつ、閾値モデルなども仮定し、この種の検討を継続していきたい。