日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. 繁殖・生殖工学

[P3-03] ルーメンバイパス性アルギニン製剤の給与が黒毛和種雌牛の定時授精前後の繁殖生理に及ぼす影響

〇平田 統一1,2、杉本 裕介3、松﨑 駿2、池田 広輝1、及川 真道、市野 晴花1 (1.岩手大学農学部、2.岩手大学大学院、3.味の素(株)バイオファイン研究所)

【目的】第一胃通過性のアルギニン(RP-Arg)製剤を試作し、雌牛の定時授精処置時に給与することで繁殖生理にどのような影響を及ぼすか検討した。【方法】供試動物は黒毛和種牛で、イネ科牧草サイレージを飽食とし、配合飼料を2kg/頭・日給与した。処置開始時のD-10に腟挿入P4・E2配合剤(PRID)を装着し、D-3にPGF2αを筋注してPRIDを抜去した。D-1にGnRHを筋注し、D0に定時授精した。D-10から-1の間、毎日1回100gのArgを給与する群(Arg群:経産8頭、未経産6頭)と給与しない群(Cont群:経産10頭、未経産5頭)を設けた。D-10、-3、-1、5に子宮内膜厚、子宮動脈血流量、卵胞や黄体の数、大きさを観察した。同時に採血し、生化学検査および各種アミノ酸、P4濃度の測定を行った。経産牛について内子宮口pHを測定した。【結果】D5でArg群はCont群に較べ、子宮動脈血流量が多く(P<0.05)、未経産牛の黄体が大きく(P<0.05)、P4濃度が高く(P<0.05)、内子宮口pHは減少する傾向を示した。Arg給与群の血中Arg、オルニチン、プロリン濃度は減少する傾向を示した。受胎率はArg群78.6%(11/14頭)、Cont群53.3%(8/15頭)で臨床的意義のある差がみられた。経口投与されたRP-Argは黄体形成を刺激し、妊孕性を高める可能性がある。