日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. 繁殖・生殖工学

[P3-13] 黒毛和種種雄牛の精液性状に及ぼす季節の影響と種雄牛間差

〇青沼 達也1、渡邉 智1、髙木 理宏1、及川 俊徳1、植田 郁恵1、千葉 和義1 (1.宮城県畜産試験場)

【目的】肉用牛生産基盤強化のために、黒毛和種種雄牛の凍結精液の安定供給は必要不可欠である。種雄牛の精液性状や飼養管理に関する知見を深めることを目的とし、精子運動解析装置IVOSを用い、精液性状の個体差と季節が及ぼす影響を検討した。【方法】2019年4月から2020年11月の採精記録20回以上を持つ当場繋養種雄牛を対象に、採精直後原精液および凍結融解後精液の精子濃度、精子活力等の8形質をIVOSと目視により数値化し、そのうち精子運動性に関わる5形質は、耐凍性指標として凍結融解後の低下度合いを算出した。採取時季節は月別平均気温を基に春・秋、夏、冬に分類し、精液性状について、種雄牛(11頭)および採取時季節(3区分)を固定効果、採取時の年齢を共変量として分散分析を実施した。【結果】全ての形質で種雄牛の効果が、5形質で季節の効果が、さらに2形質で交互作用が認められた。運動精子率の凍結融解後低下度合いは、夏が冬と比較して有意(P<0.05)に高く、気温が精子運動性や耐凍性に影響を及ぼす可能性が考えられた。また精子数と凍結精液の直進精子率で交互作用が認められ、これは季節が精液性状に及ぼす影響が種雄牛により異なることを示しており、季節間の温度変化等を考慮した個体ごとの飼養管理により、凍結精液の品質が向上する可能性が考えられた。