日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. 繁殖・生殖工学

[P3-33] 絶滅危惧種アマミノクロウサギ由来の無限分裂細胞および体細胞クローンの作製

〇福田 智一1、折本 愛1、片山 雅史5、谷 哲弥3、伊藤 圭子7、永塚 貴弘4、仲川 清隆4、村山 美穂6、大沼 学5、清野 透2 (1.岩手大学理工学研究科、2.国立がん研究センター、3.近畿大学農学部、4.東北大学農学研究科、5.国立環境研究所、6.京都大学野生動物研究センター、7.奄美いんまや動物病院)

「研究背景および目的」アマミノクロウサギは我が国の天然記念物であり絶滅危惧種である。奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産登録され、観光化が進み不幸なロードキル個体が増加している。我々はこの不幸なロードキル個体の体細胞から初代培養により、培養細胞を作製することを発想した。加えて無限分裂細胞を作製することを試みた。無限分裂する細胞を用いれば、世界中の研究者と研究材料として共有が可能になる。また、無限に分裂するために高品質な同一個体から全ゲノム解析に必要な大量の高純度ゲノムDNAの抽出が可能になる。

「材料および方法」ロードキルされたアマミノクロウサギの2個体筋肉から初代培養を行なった。得られた初代細胞を元に核型解析を行い正常な2個体を選抜した。その後レンチウィルスにより変異型サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4), cyclinD1、テロメア逆転写酵素(TERT)を導入した。得られた細胞を元に、細胞周期、導入遺伝子の確認、生物学的性質を解析した。「結果および考察」得られた初代培養細胞へ効率よく遺伝子導入が可能になった。また連続パッセージにより野生型細胞と比較し、細胞増殖速度が加速していることが明らかとなった。本発表では詳細な生物学的性質に関して発表する予定である。