日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

4. 形態・生理

4. 形態・生理

[P4-02] 鶏胚における筋と骨のクロストーク因子イリシンの発現と局在

〇忍田 真一朗1、杉山 稔恵2 (1.新潟大院自然科学、2.新潟大農)

【目的】近年、筋と骨との間の様々なクロストーク分子の存在が明らかになっている。その中でも、イリシンは運動によって骨格筋から放出されるマイオカインであり、骨量の制御において中心的な役割を果たしていることが示されてきている。イリシンは膜タンパク質FNDC5の細胞外部分が切断され、血中に放出されたものである。本研究では、鶏胚における筋と骨のクロストーク機構を明らかにすることを目的とし、イリシンの発現と局在について検討した。【材料および方法】供試動物としてブロイラーの鶏胚を用いた。孵卵16日目に心臓、筋胃、腸管、肝臓、胸筋、大腿筋を採取し、各組織におけるイリシンの前駆物質FNDC5のmRNA発現についてリアルタイムPCR法を用いて検討した。また、イリシンの局在について、ABC法を用いた免疫組織化学法により観察を行った。【結果】リアルタイムPCR法の結果、孵卵16日目の鶏胚では、心臓と比較して胸筋においては約12.0倍、大腿筋においては約4.2倍のFNDC5が発現していた。また、腸管でもFNDC5の発現はみられ、心臓とほぼ同等の発現(約1.02倍)を示したが、肝臓では発現していなかった。免疫組織化学的観察の結果、骨格筋の筋線維、心臓の心筋細胞ならびに筋胃および腸管の筋層でイリシンの局在がみられた。以上のことから、鶏胚では骨格筋、心臓ならびに腸管よりイリシンが分泌されていることが示唆された。