日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

4. 形態・生理

4. 形態・生理

[P4-10] ニワトリ胚における砂嚢平滑筋層分化の経時的変化

〇穐本 翔太1、徳永 亘祐1、鈴木 貴弘1、辰巳 隆一1、中村 真子1 (1.九大院生資環)

【背景と目的】 平滑筋は、血管平滑筋を対象とした医学的研究は進んでいるが、平滑筋を含む畜産副生物は可食部位が少ないことから、食品利用の観点からの研究は乏しい。本研究では平滑筋細胞を豊富に含み、畜産副生物としても食用されている砂嚢に着目し、砂嚢平滑筋層の分化の経時的変化を組織学的アプローチにより明らかにすることを目的とした。
【方法】白色レグホーンとロードアイランドレッドの交雑種の有精卵を孵卵開始10, 15, 18日目の胚から砂嚢組織を採取し、O.C.T コンパウンドに包埋し組織切片を作製した。同時に砂嚢よりRNA、タンパク質の抽出を行った。切片は H.E. 染色と平滑筋細胞分化初期マーカーである α-SMA および分化後期マーカーである CNN1 に特異的に反応する抗体を用いて蛍光二重染色をした。
【結果】10, 15日胚の砂嚢組織切片の平滑筋層の形態を H.E. 染色により観察したところ、10日胚においては15日胚では確認されなかった散在する平滑筋細胞群が存在していた。
蛍光二重染色を行った結果、10日胚において粘膜層付近の散在する平滑筋細胞群が α-SMA と CNN1 が共発現する平滑筋細胞群であることが明らかとなった。また、どの孵卵日数の胚においても、α-SMA の発現が特に強い細胞が含まれることが明らかとなった。現在、mRNAおよびタンパク質発現量の経時的変化を解析中である。