[P4-16] 持久的運動負荷による遅筋型筋線維の増加に筋幹細胞は関与しているか?
【目的】持久運動負荷により遅筋型(および中間型)筋線維が増加するが、分子機構は不明な点が多い。私達はこれまでに、筋幹細胞(衛星細胞)が活性化・増殖し分化初期に至ると多機能性制御因子Sema3Aを合成・分泌し遅筋型筋線維の形成を誘導することを報告した。本研究では、持久運動負荷による遅筋型筋線維の増加に衛星細胞由来のSema3Aが関与しているかを検証するため、先ず、衛星細胞が活性化するかどうかを調べた。【方法】8週齢の成熟雄マウスにトレッドミル走行機を用いて、傾斜0度で速度10 m/分の持久的走行運動を30分間負荷した。運動負荷終了直後にブロモデオキシウリジン(BrdU; 5 mg/100 g体重)を腹腔内投与し、16時間後に衛星細胞を単離し、培養24時間後に固定した。抗BrdU抗体で免疫染色し、陽性細胞数の割合(活性化率)を測定した。対照区には運動を負荷せずに同様にBrdUを投与した (n = 3/区)。【結果および考察】持久運動負荷により衛星細胞の活性化率が有意に上昇することを確認した(p < 0.05)。活性化した衛星細胞は増殖し分化期に移行することから、分化初期にSema3Aを合成・分泌し遅筋型筋線維の形成に関与すると考えられた。今後、衛星細胞特異的Sema3A欠損マウスを用いて同様の持久運動負荷実験を行い、遅筋型筋線維の増加に衛星細胞分泌因子Sema3Aが関与することを更に追究する予定である。