[P4-22] 前十字靭帯(ACL)付着部軟骨層の形成過程におけるペリオスチンの関与
【目的】ペリオスチン(Pn)は骨膜、歯周靭帯、表皮真皮境界部などコラーゲンベースの線維組織に発現し、細胞外基質との接着による組織構造の維持、コラーゲン産生、線維化形成に関与している。本研究では野生型(Pn+/+)マウスとPnノックアウト(Pn-/-)マウスを比較し、ACL脛骨付着部軟骨層の形成過程を形態学的に評価して、Pnの影響を考察した。【方法】生後1日及び1, 2, 3, 4, 6, 8, 10, 12週のPn+/+マウスとPn-/-マウスを各6匹ずつ安楽死させ、体重を計測し、脛骨-ACL-大腿骨複合体を採取した。常法により矢状面のパラフィン連続切片を作成した。一般染色を行い、軟骨細胞の増殖能評価に抗PCNA抗体、Ⅰ型コラーゲン(ColⅠ)及びⅡ型コラーゲン(ColⅡ)の評価に抗ColⅠ抗体及び抗ColⅡ抗体を用いた免疫染色、アポトーシスの評価にTUNEL染色、同時にACL付着部軟骨層の全軟骨細胞数,ACL付着部幅に対するタイドマーク長(TM)の割合、脛骨内外側顆幅、ACL脛骨付着部内外幅を測定した。【まとめ】体重は生後2~6,10,12週で、脛骨内外側顆幅は生後1日,2~4週で、ColⅡは生後6, 8週で、Pn+/+マウスの方が有意に大きかった。TMの割合はPn+/+マウスの方が生後8週以降に有意に大きかった。以上よりペリオスチンはACL脛骨付着部の軟骨層形成に影響する可能性が示唆される。