日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

4. 形態・生理

4. 形態・生理

[P4-45] ウマの唾液中コルチゾール濃度による生理学的ストレス評価

〇野谷 夏海1、齊藤 朋子1、南保 泰雄1、瀬尾 哲也1 (1.帯畜大院)

動物のストレス評価の指標として血中コルチゾール濃度を測定することは一般的な方法であるが,侵襲的な行程を含む。唾液採取は非侵襲的かつ容易であり,唾液にはストレス応答として生理活性を示す遊離コルチゾールのみが存在する。ウマの唾液によるストレス評価研究は国内ではまだ行われていない。本研究の目的は,日本で飼養されるウマの唾液・血中コルチゾール濃度を測定し,唾液中コルチゾール濃度のストレス評価指標としての妥当性を検証することとした。
十勝にて飼養する北海道和種馬を含むウマ20頭から,サリベットを用いて唾液採取し,次に採血した。コルチゾール濃度測定は血漿を自動EIA装置(AIA-360,TOSOH,東京),唾液をELISAキット(DetectX,Arbor Assays,米)で行い,相関を解析し唾液中コルチゾール濃度のストレス評価指標としての妥当性を検証した。
平常時の唾液中コルチゾール濃度の平均値は0.97nmol/lで先行研究と概ね一致したが,血漿中では96.63nmol/lで先行研究より低い値であった。唾液中と血漿中のコルチゾール濃度には正の相関が認められ(r=0.788,p<0.001),先行研究の結果を支持し,唾液中コルチゾール濃度はストレス評価指標として有効であると示唆された。
唾液中コルチゾール濃度測定は,今後様々なストレス評価実験に活用でき,ウマの動物福祉向上に繋がると期待される。