日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

6. 管理・環境

6. 管理・環境

[P6-10] カラスの警戒声はウシのストレスとなりうるか?

〇塚原 直樹1,2、永田 健1、朝重 匡喜3,4、青山 真人3,5、長尾 慶和3,4 (1.(株)CrowLab、2.宇大バイオ、3.宇大院農、4.宇大農場、5.宇大農)

カラスは畜舎に侵入し、餌の盗食やウシを突き、時には出生直後の産子を死なせることもある他、伝染病の伝播なども引き起こす。それらに対し、(株)CrowLab(栃木県宇都宮市)では、カラスの警戒声を再生することで、畜舎へのカラスの侵入を防ぐ技術を開発し、実用化を目指している。しかしながら、カラスの忌避を目的とする再生音に、ウシ自身がストレスを感じ、生産性に影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では、牛舎内で鳴らすカラスの警戒声がウシに及ぼす影響について調べた。供試牛には宇都宮大学農学部附属農場の繋ぎ牛舎で飼育されている乳牛15頭を用いた。カラスの警戒声には、(株)CrowLabで作製した2種類の音声を用いた。それぞれの警戒声は、2019年12月7日から13日の7日間と2020年2月13日から19日の7日間の2回に分けて再生した。初日は対照日とし音声は再生せず、残りの6日間に音声を再生した。各期間中に経時的に採血を行い、血中ストレスホルモン(コルチゾル)濃度を測定するとともに、ビデオカメラを設置し、ウシの行動を観察した。また、生乳生産量、乳脂肪分率、無脂乳固形分率および体細胞数を測定した。その結果、ウシの行動、血中コルチゾル濃度、生乳生産量および乳質にカラス警戒声による変化は観られなかった。以上の結果から、カラスの警戒声はウシに対してストレスを与えず、生産性にも影響しないことが示された。