[P6-17] 牛舎飼養管理下乳牛の血液成分および生産性に小型ピロプラズマが及ぼす影響
【目的】マダニによって媒介される小型ピロプラズマ原虫により引き起こされる小型ピロプラズマ病は放牧環境下の牛に経済面で負の影響を及ぼす疾病である。本研究では、牛舎管理下で飼養されている乳牛を対象として、小型ピロプラズマ感染が周産期疾病罹患時における貧血の重篤性に及ぼす影響、および生産性に及ぼす影響を調査することを目的とした。【方法】本研究では完全牛舎内管理の大規模酪農場1農場で飼養されているホルスタイン種を対象とした。2017-2020年の期間で実施したPCR検査により小型ピロプラズマの感染の有無を判断した627頭を研究に用いた。調査1では分娩後21日以内に病畜個体と診断された156頭を対象として血液成分を比較した。調査2では小型ピロプラズマ感染の有無が明らかになった471頭を対象として、305日乳量および空胎日数を比較した。【結果】 調査1において、小型ピロプラズマ陽性個体群は陰性個体群に比べ、ヘモグロビンおよびヘマトクリット値がそれぞれ0.4g /dl、1.5% 減少したが(P<0.05)、白血球数、赤血球数、赤血球容積および血小板数において有意な差はみられなかった。調査2では、小型ピロプラズマ感染個体群は非感染個体群に比べて305日乳量の低下および空胎日数の長期化は認められなかった。結論として、牛舎飼養管理下では小型ピロプラズマの負の影響は小さいことが示唆された。