日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

6. 管理・環境

6. 管理・環境

[P6-21] 黒毛和種雌牛の映像監視における解釈可能な分娩予兆通知システム

〇兵頭 亮介1、斎藤 奨1,2、中野 鐵兵1,2、赤羽 誠1,2、春日 良一3、小川 哲司1 (1.早大理工、2.知能フレームワーク研、3.ファーマーズサポート)

【目的】分娩介助に関する意思決定を支援するためには,分娩予兆通知システムは予測の判断根拠を農家に提示可能であることが求められる.本研究では,監視映像から分娩予兆に関連する特徴的な姿勢や活動量の増加が抽出可能となるように分娩予兆検知モデルを設計し,ユーザ実験を通じて通知情報の解釈性を検証する.【方法】一般的な深層学習を用いて予兆検知器を構築した場合,分娩予兆の予測確率のみが提示され,判定のプロセスはブラックボックスとなる.それに対して,提案システムは,分娩予兆と平常状態の識別に寄与する情報を抽出する分娩予兆特徴抽出器と,抽出された特徴を入力として分娩予兆か否かを判定する分娩予兆検知器から構成される.このような設計により,予測確率に加えて分娩予兆に関連する統計情報(特徴的な姿勢の頻度,平常時との回転量の比較,平常時との移動量の比較)を判断根拠として提示できる.【結果】分娩房内の黒毛和種雌牛の監視映像データを用いて,システムの通知画面の解釈性を評価した.被験者は,畜産業従事者6名である.実験では,提案システムと一般的な深層学習に基づくシステムの通知画面を順に提示し,通知の正誤を回答させた.加えて,回答中の発話と事後アンケートを収集し,定性評価を行った.その結果,多くの被験者が提案システムの提示する判断根拠を意思決定の参考にしており,6人中5人が提案システムを今後も利用したいと回答した.