日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

6. 管理・環境

6. 管理・環境

[P6-29] 畜産現場から発生する臭気寄与成分の調査

〇安田 知子1、福本 泰之1、和木 美代子1 (1.農研機構 畜産研究部門)

【目的】畜産現場では適切な家畜飼養管理と糞尿処理により臭気を一定程度低減できる。一方、嗅覚で検知できる不快臭が残存していることも明らかになってきている。そこで、畜産経営に起因する臭気の寄与成分を調査した。【方法】密閉豚舎、密閉鶏舎、肥育牛舎、乳牛ふん乾燥ハウス、鶏ふん発酵施設を対象とした。におい嗅ぎGC/MSにより臭気の寄与成分を見出し、加熱脱着GC/MSを用い各成分の半定量値を求めた。また、三点比較式臭袋法により臭気濃度を測定した。臭気に影響する成分の把握のため各成分の閾希釈倍数を算出した。【結果と考察】臭気濃度は無臭になるまでに要した希釈倍数であり、閾希釈倍数は臭気成分濃度をその成分の嗅覚閾値濃度で割った値である。閾希釈倍数の合計は肥育牛舎で臭気濃度の約8割、密閉鶏舎で6割弱、鶏ふん発酵施設と密閉豚舎では約4割となり、臭気に影響する成分がある程度把握できた。乳牛ふん乾燥ハウスではにおい嗅ぎGC/MSで検知されたが加熱脱着GC/MSで検出限界以下となる成分が多かった。畜産臭気の寄与成分は、特定悪臭物質のアンモニア、トリメチルアミン、低級脂肪酸、硫黄化合物の他、p-クレゾール、アルデヒド類などであり、発生源別の組成の違いが認められた。今回明らかとなった臭気成分を対象とすることでより効率的な臭気対策技術開発が可能になると考えられる。本研究は日本中央競馬会の畜産振興事業として実施した。