09:30 〜 09:45
[VYS-03] 黒毛和種繁殖雌牛における分娩前後の栄養状態と繫殖成績との関連
【目的】肉用牛経営において、分娩間隔の短縮が大きな課題とされている。分娩間隔の延長には、発情見逃しやAI技術など種々の要因が関与していると考えられるが、栄養状態も一因となることが示されている。乳用牛においては、低栄養が繁殖成績を悪化させるとの知見が多く報告されているが、肉用牛における知見は少ない。本研究では、黒毛和種繁殖雌牛における分娩前後の栄養状態と繁殖成績との関連を検討した。【方法】青森県内の民間農場で飼養されている黒毛和種繁殖雌牛264頭を用い、分娩前後7ヵ月間にわたって月1回の栄養度評価と採血による生化学分析と性ホルモン分析を実施し、繁殖成績との関連を検討した。【結果】分娩前後に栄養度が低い牛群では、初回交配日数および空胎日数の延長が認められた。また初回AI(-)牛群では、分娩直後の栄養度の急激な低下、血中NEFA濃度の高値、および13項目のアミノ酸濃度の低値が認められた。さらに空胎日数が延長した牛群では、血中3-MH濃度が高かった。以上より、黒毛和種繁殖雌牛において、分娩前後の栄養状態が繁殖成績に影響することが示され、特に分娩直後の低栄養が繁殖成績悪化の要因であることが明らかとなった。また、アミノインデックスを用いた繁殖成績改善の可能性が示唆されたことから、新たな評価指標としての活用が期待できる。本研究は「生産性革命に向けた革新的技術開発事業」の支援を受けて実施した。