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[IIIYS-05] 野生シカから分離・選抜したチーズ用スターター乳酸菌の評価
【目的】わが国のナチュラルチーズ消費量は増加傾向にあるが,乳酸菌スターターの供給は輸入頼りである.本研究では,国産スターターの開発を目標に,岡山県内の野生シカ糞便よりチーズスターター好適乳酸菌を分離・選抜・同定し,試作チーズの評価を行った.【方法】供試200菌株の低温生育性・乳中生育性・ガス非産生・耐塩性・リパーゼ活性・芳香物質(ジアセチル,アセトイン)生産性・プロテアーゼ活性を評価し,チーズスターター好適乳酸菌を選抜した.選抜菌株は,菌種同定後にゴーダチーズの試作に供し,12ヶ月熟成中のチーズのpH・滴定酸度・乳酸菌数・真菌数・熟成率・芳香物質含有量・塩分濃度・黄色度を経時測定することで,スターターとしての能力を評価した.【結果】高リパーゼ活性のLactobacillus plantarum subsp. plantarum,ジアセチル高産生のPediococcus pentosaceus,アセトイン高産生のLb. curvatus,高プロテアーゼ活性のLb. plantarum subsp. argentoratensisの4菌株をチーズスターター好適乳酸菌として選抜した.選抜菌株を用いたチーズは,市販スターターを用いた対照チーズよりも緩やかに発酵し,汚染酵母の増殖を抑制した.このことから,選抜菌株は輸入市販品とは特性の異なる国産スターターとして有用であると示唆された.