日本畜産学会第128回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表4

2021年3月28日(日) 09:00 〜 10:30 ライブ配信

座長:尾嶋 孝一(農研機構畜産研究部門)、高坂 哲也(静岡大農)、一條 俊浩(岩手大学)、杉山 稔恵(新潟大学農学部)

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パスコード:328262

09:15 〜 09:30

[IVYS-02] 高温感作による免疫疲弊を回避する鶏盲腸に発達する新たな免疫臓器Cecal patchの発見

〇平川 良太1、喜久里 基1、古川 恭平1、古川 睦実1、宇佐美 克紀1、佐藤 幹1、豊水 正昭1、野地 智法1 (1.東北大院農)

【目的】IgAを中心とした鶏腸管の免疫機能に関する理解は、高温下で増加する腸管感染症を克服するために重要である。粘膜面のIgA産生は、腸管に複数発達する免疫臓器(GALT)において、抗原刺激を受けたB細胞がIgA産生細胞へと分化し、それらが粘膜固有層へと遊走することで誘導される。本研究では、鶏腸管のIgA産生に特に重要なGALTの特定と、そこでのB細胞の分化機序の解明を目的とした。また、高温感作した鶏と比較することで、特定したGALTを中心とする腸管免疫機能に与える暑熱の影響を評価した。【方法】5週齢の肉用鶏の腸管各部位に存在するリンパ球の分布、およびその数を調べ、免疫機能が特に発達した鶏GALTを検討した。続いて、高温感作した鶏において、特定された鶏GALTでのB細胞の分化成熟、および粘膜面でのIgA産生能を評価した。【結果】既存の盲腸扁桃やパイエル板に加えて、盲腸全体にも濾胞が複数形成された免疫臓器が発達していることを見出し、Cecal patches (CP)と命名した。鶏GALTの代表格である盲腸扁桃でのB細胞分化は高温感作による影響を受けていた一方で、CPでは、それらの機能は保たれていた。また、高温下の腸管でのIgA産生能は適温下と同等に維持されていた。【考察】本研究から、高温下の鶏腸管では、特にCPが粘膜面でのIgA産生を促す原動力として機能していることが強く示唆された。