[P1-11] ビタミンA筋肉内投与が黒毛和種哺乳子牛の骨格筋発達および血液成分に及ぼす影響
【目的】ビタミンA(VA)は哺乳類において必須の栄養素であり、その代謝産物であるレチノイン酸は核内受容体を介し、筋分化等に関与することが知られている。また、VAはIGF-Ⅰ代謝に作用し、黒毛和種肥育牛の増体の向上に影響を及ぼすことが報告されているが、黒毛和種哺乳子牛におけるVA投与効果の報告は少なく、特に骨格筋発達に着目した報告は見られない。そこで、本研究は黒毛和種哺乳子牛にVAを筋肉内投与し、骨格筋発達および血液成分に及ぼす影響を検証した。【方法】黒毛和種子牛10頭を試験に供し、VA非投与群5頭と投与群5頭に分けた。両群ともに7日齢で母子分離した後、90日齢まで哺乳ロボットによる人工哺乳を行った。投与群は7日齢及び30日齢に150,000IUのVAを筋肉内投与した。経時的に体測および採血、超音波による骨格筋の診断を実施し、発育値及び血液成分値、骨格筋発達について調査した。また、試験終了時(90日齢)に大腿二頭筋から生検針を用いて筋サンプルを採取し、骨格筋関連遺伝子発現について調べた。【結果】血液成分について投与群において30日齢時のT-Cho及び90日齢時のHDL-Cで有意に高値となった。また、超音波診断によって投与群の大腿二頭筋が有意に厚いことが観察されたが、体重等の体測値について有意な差は認められなかった。なお、遺伝子発現は現在解析中である。