日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

1. 栄養・飼養

1. 栄養・飼養

[P1-12] 分娩前後のβ-カロテンの給与が分娩後の黒毛和種繁殖牛の卵巣機能に及ぼす影響

〇三ツ石 裕貴1、大塚 剛司2、中辻 幸信3、八代田 真人2,4 (1.岐大院連農、2.岐大応生、3.DSM株式会社、4.岐大GeFAH)

【目的】β-カロテンは粗飼料に含まれるプロビタミンAであり,乳用牛の分娩後の卵巣機能に関与することが報告されている。一方,授乳している肉用牛は乳用牛と比べて分娩後の卵巣機能の回復が遅いと言われているが,これまでにβ-カロテンの給与効果はほとんど検証されていない。本研究では分娩前後の黒毛和種繁殖牛にβ-カロテンを給与することにより,分娩後の卵巣機能に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。【方法】黒毛和種繁殖牛12頭を供試した。試験は個体ごとの分娩のタイミングで実施し,分娩予定4週間前から分娩後8週目までを試験期間とした。供試牛をβ-カロテンを1,000 mg/日給与する区(BC区:6頭)とβ-カロテンを給与しない区(C区:6頭)に分け,血漿中β-カロテンおよびレチノール濃度を期間中週1回,分娩後に最大卵胞直径を週2回,血漿中P4濃度を週1回測定し,処理区間で比較した。分娩後の哺乳条件は自然哺乳とした。【結果】血漿中β-カロテン濃度はBC区がC区と比べて高くなった(P<0.05)。血漿中レチノール濃度および分娩後の最大卵胞直径は処理区間で差はみられなかった。一方で,血漿中P4濃度はBC区がC区と比べて低い傾向がみられた(P<0.1)。【結論】自然哺乳条件下の黒毛和種繁殖牛において,黄体から分泌されるP4による卵巣機能の制御にβ-カロテンが関与している可能性が示唆された。