日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

2. 遺伝・育種

2. 遺伝・育種

[P2-21] 血縁交流の代替としてのゲノム情報利用検討

〇岡村 俊宏1、西尾 元秀1、石井 和雄1、佐々木 修1 (1.農研機構畜産部門)

【目的】複数集団を用いて育種価を推定する場合、その精度向上のために集団間の血縁交流が行われることがある。本研究では、ゲノム情報が血縁交流の代替となり得るかコンピューターシミュレーションにて検討した。
【方法】ブタ集団を想定し、同一の始祖集団から、10世代前に分岐した4集団を作成した。各集団は5世代で、各世代構成は雄候補50(うち種豚10)雌候補100(うち種豚50)調査豚100頭とした。そのうち、2つの集団は独立であり(独立群)、2つの集団は4~5世代目で雄種豚を5頭ずつ交換する血縁交流をした(交流群)。形質は遺伝率0.3の肉質形質を想定し、調査豚のみ表型値を発生させた。1,000個のQTLを18染色体に均一に発生させた。59,994個のSNPマーカーをすべての個体に発生させた。各群でBLUP法およびGBLUP法により育種価を推定し、最終世代の候補豚における真の育種価と推定育種価の相関を正確度とした。反復は50回とした。
【結果】BLUPの正確度は独立群で0.43(SD=0.14) 、交流群で0.46(SD=0.11)であり、血縁交流により育種価推定の正確度が上昇することが確認された。また、GBLUPの正確度は独立群で0.60(SD=0.09)、交流群で0.64(SD=0.09)であり、血縁交流よりゲノム情報利用の方が効率的改良が可能であることが示された。