日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

2. 遺伝・育種

2. 遺伝・育種

[P2-29] 日本トキ集団の始祖7個体のMHCハプロタイプの解析

〇谷口 幸雄1、横井 伯英1、山田 宜永2、金子 良則3、祝前 博明4 (1.京大院農、2. 新潟大院自然科学、3.佐渡トキ保護セ、4.新潟大佐渡自然セ)

【目的】主要組織適合遺伝子複合体(MHC)領域はゲノム内で最も多型性が高い領域の一つである。我々は、日本トキ集団の始祖7個体では、MHCクラスII領域のハプロタイプが4種類(HP1-4)であることを報告している(日本動物遺伝育種学会第21回大会)。また中国トキ集団では5つのMHCクラスI遺伝子座(UAA, UBA, UCA1, UCA2とUDA)のうち、クラスII領域に最も近いUAA遺伝子座で2つのアリル(01と02)が検出されている。本研究では、日本の始祖集団を対象にMHCクラスIIからUAA遺伝子座に渡るMHCハプロタイプについて検討した。【方法】初めにUAA, UBAおよびUDAのエキソン3を増幅しクローニングした。各始祖個体48クローンに対し遺伝子座特異的PCRを実施し、UAA陽性クローンを選択した。次に、UAAクローンに対しアリル特異的PCRによりアリル型を判定した。さらにクラスII領域とUAAの間にあるBRD2遺伝子座の多型をタイピングし、MHCクラスIIのハプロタイプとの連鎖について検討した。【結果】クラスII領域のHP1に対してはUAA01とUAA02が検出された。BRD2遺伝子座の多型から、HP2とHP4はUAA02と、HP3はUAA01と連鎖しており、全体でのハプロタイプ数は5であった。また、これらの結果からHP4はHP1とHP2の組換えによって生じたことが示唆された。