日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

2. 遺伝・育種

2. 遺伝・育種

[P2-31] 卵黄および卵白のメタボローム解析から得られた品種および飼料の効果

〇後藤 達彦1、森 大輝1、塩田 駿介2、友永 省三2 (1.帯畜大グローバル、2.京大院農)

鶏卵は世界中で広く利用されており、その高付加価値化が求められている。これまでに卵サイズなどに影響する遺伝および環境要因が明らかにされているものの、卵の成分に対するそれらの効果はあまり調べられていない。そこで本研究では、低分子代謝物質の網羅的解析(メタボローム解析)を利用して、品種および飼料の効果を明らかにすることを目的とした。ロードアイランドレッドおよびオーストラロープ(それぞれn = 5)を対象に、配合飼料および発酵飼料を給与した際に得られた卵黄および卵白を収集した。前処理および誘導体化を行った各サンプルをGC-MS/MSを用いて分析した。Smart Metabolites Database、MS-DIALおよびMRMPROBSを用いて、卵黄138物質および卵白132物質を同定後、相対量を算出した。品種および飼料の効果を検定するために、二元配置分散分析を行い、得られたP値をFDR補正したQ < 0.1を有意水準とした。品種によって、1つの卵白成分が変動した。また、3つの卵黄成分ならびに12の卵白成分に飼料の効果が認められた。発酵飼料を用いた卵黄および卵白には、糖アルコール類が豊富に含まれていたことから、飼料の発酵産物が卵に移行しうることが示された。このような研究を継続して、遺伝および環境要因を駆使した鶏卵の高付加価値化に関する基礎的知見を蓄積したい。