[P3-25] 成熟培養過程におけるα-リポ酸添加がウシ初期胚発生に及ぼす影響
【目的】体外受精卵の作出効率向上には、卵子が受ける酸化ストレスの軽減が重要である。本研究では、抗酸化剤の一つであるα-リポ酸をウシ卵子の体外成熟 (IVM) 培地へ添加し、初期胚発生および胚の品質に及ぼす影響について検討した。【方法】食肉処理場由来のウシ卵巣から未成熟卵子を吸引採取し、α-リポ酸添加 (50, 100および200 µM) または無添加の培地中で22時間のIVMを行った。IVM後の卵子を、体外受精 (IVF) 培地中で6時間媒精することによりIVF胚を作出した。IVF胚を体外培養 (IVC) し、胚発生状況および得られた胚の品質評価を行った。また、成熟卵子において酸化ストレスの指標となる活性酸素種 (ROS) およびグルタチオン (GSH) 含有量を測定した。【結果】胚盤胞期胚への発生率は、50 µM区において無添加区と比較して有意 (P<0.05) に高い値を示し、総細胞数の増加も認められた。ROS含有量は、全ての添加区において、無添加区と比較して有意 (P<0.01) に低くなった。また、GSH含有量は、全ての添加区において、無添加区と比較して有意 (P<0.01) に高くなった。【結論】ウシ卵子のIVM過程における50 µMα-リポ酸添加は、初期胚発生に有効であることが明らかとなった。また、酸化ストレスを軽減し、卵子および胚の品質を向上させた。