日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

4. 形態・生理

4. 形態・生理

[P4-44] リポポリサッカライドがニワトリヒナの血漿中一酸化窒素代謝産物濃度および抗酸化酵素活性に与える影響

〇千貫 晃1、牧野 良輔1、橘 哲也1 (1.愛媛大学農学部)

グラム陰性菌の細胞壁成分であるリポポリサッカライド(LPS)は脊椎動物の免疫系を活性化させ、食欲の低下や活動量の低下など様々な変化をもたらすことが知られている。さらに、哺乳類ではLPSが一酸化窒素(NO)の合成を促すことで酸化ストレスを引き起こし、さらには様々な臓器の損傷をもたらすことが知られている。本研究では、ニワトリヒナへのLPSの腹腔内投与が血中の肝臓損傷の指標成分、NO代謝産物(NOx)の濃度、および血中の抗酸化酵素の活性に与える影響を調べることを目的とした。卵用種ヒナにLPSを100 µg腹腔内投与したところ、投与6時間後に血漿中総タンパク質およびアルブミン濃度が対照群よりも有意に低下し、NOx濃度、ALT活性およびカタラーゼ活性が有意に上昇した。一方、投与24時間後ではALT活性が対照群よりも有意に低下し、AST活性が有意に上昇した。これらは哺乳類の先行研究ほどの変化を示さなかったため、100 µgのLPSを1日1回、4日間連続で腹腔内投与した後の血中成分について調べた。その結果、血漿中SOD活性のみ有意に増加し、それ以外の項目では有意な変化が見られなかった。以上の結果から、LPSの投与によりニワトリヒナにおいてもNOの合成と酸化ストレスが生じていると考えられるが、酸化ストレスの程度や組織の損傷は哺乳類よりも小さい可能性が示唆された。