日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

5. 畜産物利用

5. 畜産物利用

[P5-06] 乳清タンパク質の熱変性がLactobacillus gasseri TMC 0356の生育に及ぼす影響

〇山崎 和幸1、櫻井 深2、吉田 奈央2、何 方1、川井 泰3、増田 哲也3 (1.タカナシ乳業 商品研究所、2.日大生資科、3.日大院生資科)

【目的】Lactobacillus gasseri TMC 0356(L. gasseri)の生育は低温で殺菌された乳中で良好であり、かつ生育にはカゼインを利用している可能性があることをすでに報告した1)。本研究では、ホエイタンパク質の熱変性がL. gasseriの生育に及ぼす影響の解明を目指した。【方法】MRS培地で培養したL. gasseriの菌体をpH5.5のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に72時間浸漬し、0.45µmメンブレンフィルターでろ過したものを菌体抽出物とした。殺菌条件の異なる市販乳(LTLT殺菌乳、HTST殺菌乳、UHT殺菌乳)、日大付属農場のバルク生乳より調製した殺菌乳(65℃~85℃まで5℃刻みに温度を設定し30分間殺菌したもの)の各200µLに菌体抽出物50µLを添加し、37℃・48時間反応させSDS-PAGEによって比較した。【結果】LTLT殺菌乳・HTST殺菌乳・65℃殺菌乳ではホエイタンパク質が熱変性せず、カゼインとの複合体を形成しないことが示された。また、LTLT殺菌乳・HTST殺菌乳・65℃殺菌乳では、カゼインの顕著な低分子化を確認した。結果より、低温で殺菌された乳中ではホエイタンパク質がカゼインと複合体を形成しないため、菌体抽出物によるカゼインの分解が容易となり、L. gasseriの生育に適していると示唆された。

1)日本畜産学会 第124回大会