日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

5. 畜産物利用

5. 畜産物利用

[P5-17] 真空包装下における熟成が和牛肉の香気成分に及ぼす影響

〇中安 健輔1、岡庭 就祐1、田中 宙生2、渡辺 彪人2、宮口 右二2、川上 美智子3 (1.茨城畜セ肉研、2.茨城大農、3.茨城キリ大生科)

【目的】和牛肉には,輸入牛肉にない特有の香りである「和牛香」の存在が知られている。これまでの牛肉の香気成分に関する研究では,和牛香はアルデヒド類,アルコール類およびラクトン類の寄与が示唆されているが,これらの香気成分は熟成により異なる生成パターンを示すものと考えられる。そこで,本研究では,熟成が和牛肉の香気成分に及ぼす影響について検討した。【方法】茨城県産黒毛和種牛肉(A4等級)の胸最長筋を真空包装後,2℃で10および45日間熟成し,実験に供した。遊離アミノ酸,遊離糖はHPLC,遊離脂肪酸はキット,脂肪酸組成はGCで測定した。また,香気成分は供試肉を5×5×0.4 cm に成型し,230℃で両面をそれぞれ30秒ずつ加熱し,GC/MSで測定した。【結果】遊離アミノ酸,遊離糖,遊離脂肪酸は,熟成45日で有意に増加した。また,香気成分は,アルキルピラジン類および低級アルデヒド類が熟成45日で有意に増加した。一方,脂肪酸組成には変化が見られなかった。このことから,熟成により遊離アミノ酸および遊離糖が増加し,加熱によるメイラード反応でピラジン類が多量に生成されることが示された。また,熟成により遊離脂肪酸が増加し,加熱による酸化でアルデヒド類が多量に生成される可能性が考えられた。以上の結果から,熟成による呈味関連成分および香気成分の増加が,和牛肉のおいしさ向上に影響を与えるものと考えられた。