日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

5. 畜産物利用

5. 畜産物利用

[P5-27] 屠鳥前のホスファチジルイノシトール3-キナーゼ活性がブロイラーの肉質に与える影響

〇仲西 友紀1、渡邉 健生2、河原 聡1 (1.宮崎大農、2.宮大院農)

【目的】ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)はインスリンなどの細胞内シグナルを伝達する酵素であり、骨格筋の成長や恒常性維持に関与する。本研究では、PI3Kを薬理学的に阻害したブロイラーを用いて、屠鳥前のPI3K活性が肉質に与える影響を調査した。【方法】6週齢の雄ブロイラーを試験に供し、屠鳥の24時間および48時間前に、0 mg/kgもしくは1 mg/kg のwortmanninを投与した。ブロイラーからムネ肉とモモ肉を採取し、肉質の指標として色(CIELAB)、保水性およびせん断強度の測定を行った。また、屠鳥後のpH推移や、グリコーゲンならびに遊離アミノ酸の含有量についても調査した。【結果】wortmanninを投与したブロイラーのムネ肉は、高いL*値とb*値および低いa*値を呈した。また、両群のムネ肉にせん断強度の差は認められなかったものの、wortmannin投与によってムネ肉の保水性は向上した。更に、wortmannin投与によって、ムネ肉におけるアルギニンやグルタミン酸などの遊離アミノ酸の含有量が増加した。wortmannin投与による上述の変化はモモ肉でも同様に観察された。また、これらの変化は、屠鳥時のグリコーゲン含有量が低いことや屠鳥後のpHが高く推移することに起因するものと考えられ、その特徴はDFD(Dark, Firm, Dry)肉に類似していた。