日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

5. 畜産物利用

5. 畜産物利用

[P5-30] パルマハムから水抽出できない亜鉛プロトポルフィリンIXの存在形態の探索

〇阿部 悠1、早川 徹1、玖村 朗人1、若松 純一1 (1.北大院農)

【目的】亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)はパルマハムの鮮やかな色調に寄与しているが、その形成機構はいまだ不明である。我々は、その解明の一助としてZnPPの存在形態に着目してきた。パルマハム中のZnPPには水抽出できるものとできないものがあり、水抽出できるものは、ヘモグロビン(Hb)およびミオグロビン(Mb)との複合体であることが示された。一方、水抽出できないものの存在形態は不明であるため、本研究ではその解明を目的とした。【方法】パルマハムに純水を加えてホモジナイズし、遠心分離により水抽出液と残渣に分け、それぞれのZnPPをアセトンで抽出して蛍光強度を測定した。水抽出できないZnPPについては、水抽出残渣のpHを弱アルカリに調整して抽出し、ウエスタンブロッティング(WB)法および免疫沈降法に供した。【結果】ZnPPの含有量についてはばらつきが大きかったが、水抽出できないZnPPの割合と筋肉部位のpHとの間に強い負の相関があった。そこで、水抽出時のpHを検討したところ、pH 9でのZnPPの抽出率が最大となった。パルマハム水抽出残渣から弱アルカリで抽出したものでは、ZnPPとHbおよびMbとの結合が確認された。このことから、水抽出できないZnPPの一部は、パルマハムのpHでは不溶化して存在するHbおよびMbとの複合体として存在していることが示唆された。