日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

5. 畜産物利用

5. 畜産物利用

[P5-32] イノシン酸によるアクトミオシン解離機構の検討

〇小林 優多郎1、松石 昌典1 (1.日獣生科大応生)

【目的】食肉の主要なタンパク質であるアクトミオシン(AM)は、食肉製品の食感に重要な因子であることはよく知られている。これまでに、イノシン酸(IMP)添加は、AMをアクチンとミオシンに解離させることで食肉の加熱ゲルの保水性を高めることを報告した。そこで、本研究では、IMPによるAM解離効果の作用機序を明らかにするために、イノシン酸および関連化合物による当該作用の活性を比較した。【方法】AMは市販のトリ胸肉から常法により調製した。タンパク質濃度はビウレット法により求めた。各種核酸によるアクトミオシンの解離活性は、アクトミオシン溶液(2 mg/mL)と核酸試料を混合して、4℃で10分間反応させることにより、遊離したアクチンおよびミオシンをSDS-PAGE法で検出する方法で評価した。【結果】IMP処理では濃度依存的なAM解離効果が認められた。一方、イノシン酸およびヒポキサンチンでは明らかなAM解離は認められなかった。IMPはヒポキサンチンとリボースとリン酸基から構成される化合物である。以上のことから、IMPによるアクトミオシン解離現象にはリボヌクレオチド骨格が必要となる可能性がある。