日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

6. 管理・環境

6. 管理・環境

[P6-20] 平成30年台風21号が酪農業システムに与えた影響―大阪府における事例―

〇平田 祥太郎1、星 英之2 (1.大安研衛生化学部、2.大府大人社シス)

【目的】地球温暖化等の気候変動に伴い、台風等の自然災害の発生リスクが高まっている。本研究では大阪府における平成30年台風21号(以下台風)被害を例に、自然災害が酪農業システムに与えた影響を評価し、被害防除法について検討した。

【方法】聞き取り調査:大阪府下酪農家11戸を対象に台風上陸に伴う被害状況について聞き取りを実施した。乳牛の健康評価:栄養状態指標としてボディコンディションスコア(BCS)、飼料摂取量の指標としてルーメンフィルスコア(RFS)、消化器運動の指標として糞消化スコアを評価した。

【結果】台風が畜舎に与えた損害を評価すると、大半の畜舎において損壊および停電が発生していたことが明らかとなった。BCSを評価したところ、台風通過後は削痩している牛が増加したことが示された。RFSおよび糞消化スコアを評価したところ、台風通過により飼料摂取不良、下痢症状を示す乳牛が加したことが分かった。災害時発電機の重要性を評価するため、発電機設置農家の牛群(設置群)と発電機未設置農家の牛群(未設置群)の2群に分けて健康指標を比較した。未設置群の3つのスコアが有意に低下していた。一方、設置群では乳牛の3つのスコアにおいて変化が認められなかった。

【考察】自然災害が酪農業および乳牛の健康に与える影響について包括的に明らかにした。非常用発電機が災害時に乳牛の健康悪化を防ぐ上で重要であることを示した。