日本畜産学会第128回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表5

2021年3月28日(日) 09:00 〜 10:30 ライブ配信

座長:木村 康二(岡山大学)、原山 洋(神戸大院農)、青山 真人(宇都宮大学農学部)、小泉 聖一(日大生物資源)

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パスコード:328426

09:45 〜 10:00

[VYS-04] ニワトリ始原生殖細胞に適した凍結保存液の開発

〇濵井 奈津子1、小出 茅洋2、都築 政起1,2,3、中村 隼明1,2,3 (1.広島大生物生産、2.広島大院統合生命、3.広島大JAB)

【目的】始原生殖細胞(PGC)は、胚発生初期に出現する配偶子の前駆細胞である。PGCの凍結保存と移植は、胚の凍結保存ができない鳥類において、種の保存のための代替法である。しかし、PGCは採取できる数に限界があり、凍結保存法は十分に検討されていない。そこで、最近ニワトリPGCが培養可能になった利点を活かし、本研究はニワトリPGCの緩慢凍結に適した凍結保存液を開発することを目的とした。【方法】DMSO、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)の耐凍効果を比較検討した。続いて、トレハロースや血清を追加することで、耐凍効果が増強されるか検討した。以上の結果に基づいて、耐凍効果が最も高くなる凍結保存液の組成を決定した。また、凍結PGCを移植して配偶子分化能を解析した。【結果】4種の耐凍剤のうち、DMSOとPGが有意に高い効果を示した(P<0.05)。トレハロースと血清は、それぞれ回収率と生存率を向上させる効果があり(P<0.05)、それらの効果は相加的であった。そこで、凍結保存液中のDMSOあるいはPGの濃度と、これらに追加するトレハロースと血清の濃度を最適化した結果、凍結保存したPGCの60%以上を生細胞として回収可能となり、先行研究の成績(約50%)を上回る耐凍効果が認められた。また、凍結保存したPGCは、機能的な配偶子へ分化することが示された。