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[2Cp-04] 磁気共鳴画像法(MRI)による米飯評価の検討
キーワード:磁気共鳴画像法(MRI)、米、T2緩和時間、水分動態
【目的】中食・外食での消費の増加など,米の利用形態が多様化する中,加工・保存プロセスにおいて多彩に変化する米の品質を捉え,評価するための解析技術の開発が求められている.我々は米飯の加工特性評価や目的に適した品種選別などへの活用を目指して,磁気共鳴画像法(MRI)による米飯中の水分動態に関するデータ蓄積を行ってきた.特に,水分動態の指標となるT2緩和時間とその空間分布は米飯食味と深く関与すると考えられている.本研究では,米飯の水分動態が流通過程における品質変動の指標となり得るかを検討するため,T2緩和時間の経時変化およびその品種間差を調べた.【方法】5品種の精白米(栃木県産コシヒカリ,茨城県産コシヒカリ,宮城県産ひとめぼれ,北海道産きらら397,長野県産ミルキークイーン,いずれも令和5年産)を試料として用い米飯を得た.業務利用が一般的な前4者の品種と低アミロース品種である.それぞれの米飯の炊飯当日,冷蔵(5°C)保存1日目,3日目の試料についてT2分布画像を得た(Bruker AVANCE400WB).また,MRI用サンプルと同一の炊飯器から採取した米飯の水分含量,食味値,物性値をそれぞれ得た.【結果】試料の水分含量は60~61%の間で大きな差はなかったが,T2緩和時間は時間経過に伴い減少する傾向が見られ,さらに,品種や産地によるT2緩和時間の違いが経時変化よりも大きく観察された.経時変化のパターンは炊飯当日の値に依存せず,品種や産地による特徴が見られた.また,栃木県産コシヒカリでは食味値および粘りとT2緩和時間との間に高い相関関係が見られた.以上から,T2分布画像とその経時変化には品種の特性や産地の違いが反映されることが分かった.現在,品種や産地による米粒内の水分動態の違いが,電子レンジによる再加熱の効果におよぼす影響について検討を進めている.