2:15 PM - 2:30 PM
[3Hp-01] Ability of Wild Yeast MC87-46 to assimilate isomaltose
Keywords:Saccharomyces cerevisiae, isomaltose, transcription factor
【目的】
日本酒は,醸造に用いる酵母Saccharomyces cerevisiaeの種類によって味と香りが変化する.本研究室で開発した名城大ブランド清酒「華名城(はなのしろ)」は,カーネーションから単離した野生酵母“MC87-46”を用いて醸造しており,清酒造りにおいて広く利用されている「きょうかい酵母」“K701”を用いて醸造した清酒に比べて,イソマルトースを多く含み,甘みを有している.これは,MC87-46がイソマルトースを十分に資化できないことに起因する.本研究では,K701に比べて,MC87-46のイソマルトース資化能が低い原因を明らかにすることを目指す.
【方法】
S.cerevisiaeのイソマルトース資化に必須であることが明らかになっているイソマルターゼIMA1のリコンビナントタンパク質を,MC87-46とK701それぞれで調製し,活性を比較した.また,K701とMC87-46のima1およびイソマルトーストランスポーターであるagt1の転写量をqRT-PCRにより定量した.さらに,次世代シーケンサーを用いてMC87-46の全ゲノム配列を解析した.
【結果】
MC87-46とK701それぞれのIMA1の比活性に違いはなかったが,K701に比べMC87-46のima1転写量は低かった.また,全ゲノム解析より,ima1とagt1の転写因子であるMal63pのオルソログに違いがあることが明らかとなった.MC87-46のMal63pに比べて,K701のMal63pではC-末端が欠失していた.Mal63pのC-末端部分は転写調節に関与している可能性があるため,K701ではMal63pの転写能が亢進し,ima1やagt1の転写量が過剰に増大することでイソマルトースが分解・資化されていると考えられた.現在,それぞれの株由来のMal63pによる転写調節機構について詳細に解析している.
日本酒は,醸造に用いる酵母Saccharomyces cerevisiaeの種類によって味と香りが変化する.本研究室で開発した名城大ブランド清酒「華名城(はなのしろ)」は,カーネーションから単離した野生酵母“MC87-46”を用いて醸造しており,清酒造りにおいて広く利用されている「きょうかい酵母」“K701”を用いて醸造した清酒に比べて,イソマルトースを多く含み,甘みを有している.これは,MC87-46がイソマルトースを十分に資化できないことに起因する.本研究では,K701に比べて,MC87-46のイソマルトース資化能が低い原因を明らかにすることを目指す.
【方法】
S.cerevisiaeのイソマルトース資化に必須であることが明らかになっているイソマルターゼIMA1のリコンビナントタンパク質を,MC87-46とK701それぞれで調製し,活性を比較した.また,K701とMC87-46のima1およびイソマルトーストランスポーターであるagt1の転写量をqRT-PCRにより定量した.さらに,次世代シーケンサーを用いてMC87-46の全ゲノム配列を解析した.
【結果】
MC87-46とK701それぞれのIMA1の比活性に違いはなかったが,K701に比べMC87-46のima1転写量は低かった.また,全ゲノム解析より,ima1とagt1の転写因子であるMal63pのオルソログに違いがあることが明らかとなった.MC87-46のMal63pに比べて,K701のMal63pではC-末端が欠失していた.Mal63pのC-末端部分は転写調節に関与している可能性があるため,K701ではMal63pの転写能が亢進し,ima1やagt1の転写量が過剰に増大することでイソマルトースが分解・資化されていると考えられた.現在,それぞれの株由来のMal63pによる転写調節機構について詳細に解析している.