日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[3Hp] 発酵、酵素利用

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 H会場 (3F N303)

座長:西野 智彦(東京工科大学)、長野 隆男(石川県立大学)、富永 達矢(日本女子大学)

14:30 〜 14:45

[3Hp-02] 共役酵素反応を活用した比色分析用アルギン酸ゲル材料の開発

*成田 千紗1、宗 伸明1,2 (1. 佐賀大・農、2. 鹿児島大・院・連農)

キーワード:アルギン酸ゲル、酵素、比色分析

【目的】酵素は基質特異性を備えた生体触媒であるため,高選択的な分析系を構築するツールとしての活用が可能である.本研究においては,褐藻類由来の天然多糖であるアルギン酸が,二価陽イオンであるカルシウムイオンとのイオン架橋反応によりゲルを形成することを利用して,共役酵素反応を生じる二種の酵素と発色基質を内包したアルギン酸ゲルを作製し,そのグルコース比色分析用ゲル材料としての性能を検討した.

【方法】アルギン酸ナトリウム溶液にカルシウム塩溶液を添加することでアルギン酸ゲルを作製し,本研究の目的に適したゲルの作製条件について検討を行った.次に,得られたゲル作製条件を基に,酵素としてグルコースオキシダーゼ(GOx)と西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP),発色基質としてグアイアコールを含有したアルギン酸ゲル材料を作製し,グルコースに対する比色応答性を検討した.

【結果】ゲルの作製条件について検討した結果,アルギン酸ナトリウムの種類とカルシウム塩の種類により,ゲルの透明度が変化することがわかった.そこで,透明性の高いアルギン酸ゲルが得られる条件において,GOx,HRP,及びグアイアコールを含有したアルギン酸ゲルを作製し,グルコースに対する比色応答性を吸光度変化に基づき検討した.その結果,グルコースの存在下においては,発色体の形成に伴う吸光度の増大が観測され,共役酵素反応に基づく比色応答性が確認できた.加えて,この発色体の生成量が,グルコース濃度に依存することも確認できた.以上のことから,本研究で開発したゲル材料が,グルコース比色分析用ゲル材料としての性能を有することが確認できた.