3:15 PM - 3:30 PM
[3Hp-05] Polymerization of sodium caseinate by oxidoreductase treatment and its efect on gel properties
Keywords:Protein crosslinking, laccase, sodium caseinate, dityrosine, transglutaminase
【目的】 トランスグルタミナーゼとは異なる機構で架橋を形成する酵素として,酸化還元酵素(ラッカーゼ,以下Lac)に着目し,架橋条件や架橋構造物,物性変化及びTG反応への影響について検討を試みた.【方法】 Myceliophthora由来ラッカーゼ及びカゼインを用いた.反応メディエーターとして,フェルラ酸(FA)を用いた.カゼイン溶液に対して,種々の反応温度(15~60℃),反応時間(~24時間),FA濃度(~20mM),酵素/基質(~0.04)にてLacとの反応後,電気泳動により,タンパク質成分組成の変化を観察した.また,ゲルろ過HPLCによる溶出パターン変化,抗ジチロシン抗体を用いたウエスタンブロッティングによる架橋構造物の検出を行った.物性評価は,グルコノデルタラクトンによる酸性ゲル化物及びTGによるゲル化物をクリープメーターにより評価を行った.【結果と考察】 ① カゼインは,α,β及びκカゼインモノマーから成り,これらは,FA濃度,温度,時間,酵素量依存的に架橋高分子化し,ほぼ同じ度合いで減少が起きた.この際,明瞭な二量体や三量体のバンドは出現せず,高分子領域に重合物によるスメアな染色域が認められた.また,κカゼインの重合にはジスルフィド結合の関与が認められた.② 未処理カゼインでは溶出時間約24kDaにブロードなピークが観察されたが,Lac反応依存的に約900及び1,300kDaのピークが増加し,40~60分子のカゼインモノマーの重合体と推定された.③ Lac反応によるカゼイン重合物には,ジチロシンが検出され,各カゼインモノマーでは,βカゼインのみにジチロシンが検出された.④ Lac処理を行ったカゼインの酸性ゲル化物では,かたさと付着性の増加が認められが,TGによるゲル化物ではかたさに変化は認められなかった.