3:30 PM - 3:45 PM
[3Hp-06] Properties and applications of enzyme modified gluten by Streptomyces protease
Keywords:protease, gluten
【目的】プロテアーゼは風味の付与や,生地の伸展性向上による作業性改善などの効果が見られ,製パン用品質改良剤として利用されることが多い.しかし,一般的な製パン用プロテアーゼは,条件によっては過度にグルテンを分解し,作業性やパンの品質低下を引き起こす.本研究では,グルテンの改質効果が高く,生地物性のコントロールが容易な酵素の探索を行い,製パンへの利用適性を確認することを目的とした.【方法】各種プロテアーゼを用いて,小麦グルテンの物性を変化させるプロテアーゼのスクリーニングを行った.選抜された酵素中の活性本体同定のために各種クロマトグラフィーに順次供し,粗精製酵素を得た.酵素処理したグルテンの構造変化について各種解析を行い,製パン時における生地物性への影響を評価した.【結果】スクリーニングの結果,放線菌由来の酵素に高いグルテンの改質効果があることを見出した.また,各種解析の結果,活性本体は菌体外セリンプロテアーゼであった.顕微鏡観察により,酵素処理したグルテンは内部の網目構造が密になっていることが確認された.更に,ラマン顕微鏡観察,化学分析により酵素処理グルテン中のSS結合量の増加が確認された.また,分子量分布の変化をSDS-PAGEにて確認したところ,酵素処理により高分子グルテニンサブユニットの特異的な分解が確認された.以上の結果から,本酵素により処理したグルテンは高分子グルテニンサブユニットの部分的な分解が起きることで,グルテニンの可動性が高まりSS結合量が増加したものと推察された.製パンへの利用適性を見たところ,本酵素を対小麦25ppm添加しても生地物性強度は低下しなく,且つ生地としては伸展性があり作業性が高いことが確認できた.本酵素はグルテン骨格の分解だけでなく生成にも関与するため,生地の過度な軟化を引き起こすことなくパンの品質向上に寄与すると考えられた.