日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[3Hp] 発酵、酵素利用

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 H会場 (3F N303)

座長:西野 智彦(東京工科大学)、長野 隆男(石川県立大学)、富永 達矢(日本女子大学)

16:15 〜 16:30

[3Hp-09] 狭山二番茶および竹葉を原料とした新規微生物発酵茶の開発

*志村 大輝1、柴田 貴子2、高橋 淳2、椎葉 究1、安部 智子1 (1. 東京電機大・院・理工、2. 埼玉県茶業研究所)

キーワード:後発酵茶、竹

【目的】埼玉県西部で栽培されている「狭山茶」は年に2回収穫される. 2回目に収穫される茶は二番茶と呼ばれ, 一番茶と比べて苦味渋味が強く商品価値が低い事から廃棄されることがある .我々は, 狭山二番茶の有効利用を目的に, 狭山二番茶を原料とした微生物発酵茶の開発を行っている. 微生物発酵により製造される茶は後発酵茶として知られており, 独特な風味を持つ健康飲料として今後普及する可能性がある. さらに,本研究では, 竹葉を微生物発酵茶の原料とすることも検討している. 竹抽出物にはコレステロール上昇抑制などの機能性が報告されており, 新たな健康飲料の開発が見込まれる.
【方法】発酵食品から単離された微生物を使用し, 狭山二番茶や竹葉, またはそれらの混合物を原料に, 30℃, 暗所の条件で嫌気発酵させ微生物発酵茶を製造した. 本研究では, 葉を発酵させる固体発酵と, 葉の抽出液を発酵させる液体発酵による製造を検討した. 微生物発酵茶は発酵過程で経時的に採取し, pH, 濁度, 生菌数を測定した. また, pHの低下や生菌数, 濁度の増加が確認されたサンプルに関してHPLCによる成分分析, 官能評価,DPPHによる抗酸化活性測定を行った.
【結果】濁度, 生菌数, pHの結果から狭山二番茶や竹葉の発酵に適した微生物を選抜した. これらの微生物を使用して製造した微生物発酵茶の官能評価を行った結果, 発酵により酸味などの新たな風味が加えられることが分かった. 微生物発酵茶の抗酸化活性は発酵後も高い抗酸化活性を維持した. HPLCによる成分分析では, 発酵過程で増減する成分ピークが検出された. 茶では, 主要な成分であるカテキン類が発酵過程で減少することが分かった. 竹葉では発酵過程で未知成分の増加が確認された.