4:00 PM - 4:15 PM
[3Hp-08] Development of a reduced protease activity for dairy applications in acid lactase
Keywords:acid lactase, dairy applications
【目的】牛乳や乳製品中には乳糖(ラクトース)が存在し,多くのヒトではラクトースは小腸に存在するラクターゼ(β-ガラクトシダーゼ)によって分解される.しかし,一部のヒトでは小腸に存在するラクターゼが少ないため,乳糖を十分に分解できず,下痢や消化不良といった乳糖不耐症状が生じる.この症状を抑えるために,ラクターゼは食品業界や医薬品業界において幅広く利用されており,またその糖転移活性によりガラクトオリゴ糖製造にも用いられる.麹菌由来のラクターゼは耐酸性が特徴であり,酸性ラクターゼとも呼ばれ,発酵乳などの食品素材や乳糖不耐に対する医薬品,サプリメント素材として利用されている.酸性ラクターゼを用いることで発酵乳等のラクトースを分解できるが,製剤中の夾雑酵素によって作用後の乳製品が凝固する問題があった.そこで本研究では,酸性プロテアーゼを低減することで凝乳を生じさせることのない製剤を開発した.【方法】麹菌由来の酵素溶液を酸性あるいは弱酸性条件下で加熱処理し,酵素溶液中の酸性プロテアーゼ活性をカゼイン法(pH3.5)で測定した.35%乳成分を含有する酸性乳飲料に対し,酸性ラクターゼ活性1500 U/mL相当で0.1%分を添加撹拌し,33℃で12週間静置し凝集性を評価した.【結果】弱酸性条件下で加熱処理した酵素含有溶液では酸性ラクターゼ活性1500 U/mL相当で酸性プロテアーゼ活性が4.6 U/mLとなり,酸性条件下の32.1 U/mLと比較して14%に低減できた.酸性乳飲料に添加した場合において,酸性条件下での処理液では4週間後に凝集物が確認され,8週間後には乳全体が凝乳した.一方,弱酸性条件下での処理液では対照の無添加と同様に凝固は見られず滑らかな液状を維持した.従って酸性プロテアーゼを一定以下に低減したことで,乳製品に対し長時間作用させても凝乳を生じさせないことが示唆された.