[3Na] 食品物性、嚥下、咀嚼機能

[3Na-02] 嚥下調整食（ゼリー／とろみ溶液／リセットゲル）の簡易的嚥下適性評価の取組み

*坂本 有宇¹、荒木 みのり¹、浅野 桃子¹ (1. ユニテックフーズ株式会社)

キーワード：リセットゲル、嚥下調整食、ゼリー、とろみ溶液

【目的】嚥下調整食は口腔内で形成した食塊がまとまってゆっくり咽頭を通過する特性が好ましいと考えられており，増粘剤やゲル化剤を用いて調整しているケースが多い．ゆえに嚥下適性評価には粘度，ゲル強度といった指標だけでなく，まとまり性，食塊移動性も重要である．凝集性（まとまり性）は一般的にTPA（Texture Profile Analysis）によって評価されるが，嚥下に適していない水が高い凝集性を示してしまうという課題がある．食塊の移動速度評価（食塊移動性）は，造影検査や超音波検査等の臨床的手法が報告されているが，臨床を介さない簡易的手法による評価は検討の余地が残されている．本研究では簡易的嚥下適性評価方法の確立を目指し，まとまり性，食塊移動性について簡易的評価を行ったので報告する．【方法】試験試料は市販嚥下調整食のゼリー（A社／B社）（ともにユニバーサルデザインフード区分4），とろみ剤を用いて調製したとろみ溶液（中間のとろみ／濃いとろみ），ゼリーととろみ溶液の中間の特性を示す2種類のリセットゲル® （①／②）とした．まとまり性，食塊移動性の評価にはガラス管を用いた流動性試験を実施した．円型容器（Φ12mm）とガラス製管（Φ12mm×150mｍ）の間に仕切りを入れ，シリンジ（先端内径約2mm）を用いて20℃の試験試料を崩しながら円型容器へ充填した．仕切りを取り除いた後に試験試料の前端がガラス管を通過する時間から，前端移動速度（食塊移動性）を算出した．また，前端通過時点の壁面への付着量（まとまり性）を評価した．【結果】前端移動速度はとろみ溶液（中間のとろみ／濃いとろみ）およびゼリー（A社）で速く，ゼリー(B社)，リセットゲル®（①／②）で遅くなった．壁面付着評価ではとろみ溶液（中間のとろみ／濃いとろみ）およびゼリー（A社／B社）で付着が見られ，リセットゲル®（①／②）は付着しなかった．