The 71th Annual Meeting of JSFST

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Symposia

シンポジウムA

[SA2] シンポジウムA2:「やさいが彩る毎日のしあわせ~ウェルビーイングを産官学連携のちからで~」
産官学連携シンポジウム(産官学連携委員会・一般財団法人旗影会共催 後援:農林水産省)

Thu. Aug 29, 2024 2:30 PM - 5:15 PM Meijo Hall (1F N101)

世話人:船見 孝博(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)、田中 敏治(キユーピー株式会社)

3:40 PM - 4:05 PM

[SA2-03] "Salad First" - Enjoy Salads For Health -

*Taichi Shiraogawa1 (1. Kewpie Corporation R&D Division)

Keywords:Vegetables, Salads, Chewing, Health

【講演者の紹介】
 白男川 太一(しらおがわ たいち):キユーピー㈱研究開発本部機能素材研究部(食と健康推進プロジェクト兼務)
 略歴:1989年 東京農業大栄養学科卒業、同年 キユーピー㈱研究開発本部入社
入社以来長年、ベビーフード、介護食を中心としたヘルスケア商品を中心とした商品開発業務に従事。容器包装技術開発部門(5年間)を経て、タマゴや野菜の機能研究を中心とした現職に至る。2023年より食と健康推進プロジェクトを兼務。管理栄養士

【はじめに】
野菜は栄養学的に有用かつ必須であり、おいしさや彩り、旬などといったように、食卓を豊かにする大切な食材である。わが国では一日当たりの目標摂取量を350gとされているが、実際の摂取量はここ数年280g前後を推移しており目標に達していない。弊社では「日本人の体位向上」という創業者の想いで、日本初となるマヨネーズを1925年に発売、その後1964年にドレッシングもわが国で最初に発売した。それ以来、日本人の食と健康や食卓の楽しさに拘りながらサラダ食文化の醸成を図ってきた。食が豊かになった現在、その志は「体位向上」から「健康増進・維持」にかわってきているが、現在も弊社グループ一丸となり「サラダファースト」を掲げ、野菜摂取による健康価値向上に取り組んでいる。
【サラダファーストとは】
「サラダファースト」とは、色々な視点で野菜摂取に関わる価値を可視化し、野菜(サラダ)食の価値を伝播するために掲げたスローガンである。前述の野菜摂取による健康価値向上だけでなく、野菜をおいしく、たくさん食べて頂き、健康で豊かな食生活を実現することを目指している。具体的にはサラダの魅力向上について「食文化」「健康」「サステナブル」の3つの視点での取り組みである。
・食文化:魅力あふれる、さまざまな野菜を、おいしいサラダに変えて、豊かな食生活を育む
   ⇒新たなサラダ野菜やサラダメニューの開拓、工場見学や出前授業などを通じた食育活動など
・健康:野菜の健康機能や食べ方の研究、提案などを通じて、健康的な食生活への貢献を図る
   ⇒食材と組み合わせによるバランスよいメニュー提案や野菜を先に食べることの良さの研究など
・サステナブル:野菜を色々なアプローチで有効活用し、持続可能な社会の実現に貢献する
   ⇒おいしさと日持ちを両立させた技術による廃棄ロスの削減、野菜未利用部の有効活用に関する
    研究や情報提供など
【サラダ(野菜)を「噛んで」食べる】
上述した3つの視点のうち健康への貢献について、もう少し深く記述する。野菜に含まれる栄養素を摂るという視点では、スムージーなどに代表される均一化された食品でも良いと考えられる。しかしサラダメニューは食材を「噛んで」食べるこという特徴があり、「噛んで」食べることで食後の血糖値上昇をコントロールする結果も示唆されている。このような研究に加え、食材それぞれの「噛み応え」を可視化した咀嚼回数ランク表など作成し、メニューと合わせた情報発信などにも取り組んでいる。
【さいごに】
以上のように食品メーカーとしての取り組みを述べてきたが、野菜は食卓を豊かにする食材として、ウェルビーイングを実現する大きなポテンシャルを有すると確信している。更なる野菜(サラダ)食文化の醸成には色々な切り口でのアプローチが必要であり、官・学・産の連携がより重要性を増すと考える。