国際開発学会第34回全国大会

講演情報

一般口頭発表

教育(日本語)

2023年11月11日(土) 09:30 〜 11:30 紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)

座長:小川 啓一(神戸大学) コメンテーター:坂上 勝基(神戸大学)、黒田 一雄(早稲田大学)

10:30 〜 11:00

[1C03] 現状に見るミャンマー連邦共和国の基礎・高等教育の課題

*牟田 博光1 (1. 国際開発センター)

キーワード:ミャンマー、基礎教育、高等教育、就学率、反事実的状況

1. 研究の目的
 コロナ禍、クーデター後のミャンマー連邦共和国の基礎・高等教育の現状を明らかにすると共に、今後の課題について考察する。
2. 分析方法
 基礎教育については、学校制度改革が進行中のため、現在の就学者数を過去の数値と比較しても、あまり意味はない。そのため、過去の就学状況の推移傾向から判断して、クーデターという異常事態がなかったとすれば、どのような児童生徒数が得られるかという反実仮想的推計値をまず求め、それを実際に得られる値と比較する。高等教育については、収容力が問題であるため、最近の情報をクーデター前の値と比較する。
3. 得られた知見
 基礎教育については、登録者率(現実の登録者数/登録者数の傾向値)は全国平均で小学校課程87%、中学校課程65%、高校課程44%、全体75%と計算される。登録しても現実には学校に出席しない児童生徒もいる。登録者に対する出席者の割合は全国平均で96%である。いずれも州・管区別の差が大きい。
 現政権はKGからG9までの義務化をめざしているがKGからG9まで就学する者は就学可能人口全体の66%と計算される。クーデターがなければこの値は87%と計算されるところから、その差21%ポイントが政変の影響になる。 2023年7月現在の教育省管下のキャンパス・ベース大学に関しては、全登録者数は2019/20年度と比較すれば46%であるが、出席者ベースで比較すると、2019/20年度の31%と計算できる。
 以上の結果から、教員研修の重要性、学力低下への危惧、就学率低下に伴う人的資源の低下、混乱収拾後の課題、等について課題を指摘する。

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