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[2M05] 政府開発援助が海外直接投資に与えた影響―援助形態別の分析―
キーワード:政府開発援助、海外直接投資、援助形態、有償資金協力
本研究は、政府開発援助(ODA)が海外直接投資(FDI)に与える影響について、援助形態別に分析したものである。1996年から2020年の主要援助国5カ国(フランス、ドイツ、日本、イギリス、アメリカ)と被援助国63カ国について、重力モデルを用いた一般化モーメント法によって推計を行った。また、時系列の因果関係を明らかにするために、パネルVARモデルによるGranger因果性検定を行った。さらに、ODAからFDIへの動的な影響を明らかにするために、インパルス応答分析も行った。推計の結果、ドイツ、日本、イギリスの有償資金協力がFDIを促進することが示唆された。それらの有償資金協力は経済インフラや生産セクター支援の割合が高く、交通、通信、エネルギー、金融などのインフラを整備することで、被援助国へのFDIを誘引している可能性がある。主要援助国のODAがFDIに与える影響を援助形態別に明らかにしたことが本研究の新規性である。一方で、本研究の分析は、あくまで統計的に有意な水準の一般的傾向の有無を判定するにすぎないということが限界であるため、事例研究による更なる解明が期待される。
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