[P1-13] 乳牛へのビタミンE給与による生乳の自発性酸化臭抑制効果の検討
【目的】生乳で自発性酸化臭(以下SOF)が生じている乳牛にビタミンE(以下VE)製剤を給与し,SOFの抑制効果と体内への影響を検討した.【方法】SOFの発生基準は,生乳採取2日後の官能検査によるSOFの感知および酸化指標物質の乳中ヘキサナール濃度が10μg/L以上とした.SOFが生じていたホルスタイン種搾乳牛7頭を供試牛とした.試験期(14日間)を2期設け,1期目は各供試牛にVE製剤(αトコフェロール2000IU相当)を給与し,2期目はVE製剤給与を停止した.1期目開始前(無給与期1),1期目終了後(VE期),2期目終了後(無給与期2)の計3回ルーメン液,血液および生乳を採取し分析した.【結果】官能検査によるSOFの強さはVE期と無給与期2が無給与期1と比べ有意に(P<0.01)低かった.乳中ヘキサナール濃度はVE期で両無給与期と比べ有意に(P<0.01)低かった.乳中および血中αトコフェロール濃度はVE期で両無給与期と比べ有意に(P<0.01)高かった.乳量,乳成分,ルーメン液性状,血液性状,乳中脂肪酸組成はいずれも処理間差が見られなかった.以上よりVE製剤の給与はルーメン発酵や乳中脂肪酸組成にほとんど影響を及ぼさずSOF発生を抑制することが示唆された.